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  • 未生流東重甫

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧36

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧36 2023年5月のコラム

 

今年の春は色んな物が賑わいを増してくれました。毎年桜は特に賑わいを感じます。人恋しい訳でもないでしょうが、人が集まると我を忘れてしまいます。これは若さということにしておきましょう。しかし、万葉集には詠まれていませんが古くは田の神の御座所とされていた桜の満開は日本の美意識を培ってきた一面もあります。上から眺める桜の景色は心躍る景色であったのでしょう。


春に花を咲かせる植物にとって、これからが生きる喜びを感じることが出来る季節ではないでしょうか。5月は新緑の季節、山笑う季節、陽気が満ちあふれる季節です。約500年前に池坊専応は、「世の中の人々、そこかしこの森の花がいついつ咲くべきかと 明暮外に求めて、よの花紅葉も我が心にある事をしなす、只目にみゆる色ばかり楽しむ也」と言い切っています。ただただ咲く花紅葉の美しさ、いわゆる目に見える、形のある美しさは何を考える事無く美しいものです。世間の人は此の美を賞賛して心躍らせれば良いのです。将に今の時代においてもそのままの世界ではないかと思います。


いけばな芸術を学ぶ人達でさえ形を求め、風興をわきまえず木々が咲くのを見るばかりでは哀しいことではないかと感じます。美しい花を挿ける、形にする行為は当たり前として、花の心と向き合って、花の美の有り処を探して欲しい気がします。


さて、4月のコラムから規矩の巻参考資料に入りましたので、今月も続きを読み進めていきます。今月は、「規矩の卷參考資料」から『天幹數』『地支の數』『八卦の數』『華道の数』です。


『天幹の數』

一は(壬:みづのへ) 陽、体  二は(丁:ひのと) 陰、体

三は(甲:きのへ)陽、和合体  四は(辛:かのと)陰、和合体

五は(戊:つちのへ) 陽、和合の本体  六は(癸:みずのと) 陰、体

七は(丙:ひのへ)陽、体 八は(乙:きのと)陰、和合体

九は(庚:かのへ) 陽、体 十は(己:つちのと)  陰、和合体

  1. 水 二、火 三、木 四、金 五、土 六、水 七、火 八、木 九、金 十なり


『地支の數』

一、(子)極陽陰 体 二、(申) 陰、()(本數なし申に寓居す)

三、(卯う)陽 和合体 四、(巳み) 陽、(辰) (本數なし巳に寓居す)

五、中位本居なし和合の本体(丑)(辰たつ)(未)(戌) (空体にして和合体の本元とす)

六、(亥)老陰 (戌)(本數なし亥に寓居す)七、(酉)陰陽・陰小和合体

八、(寅)陽中・陽陰和合体(本數なし寅に寓居す)  九,(午)極陽 陰体なり

一、水 二,金 三,木 四,火 五,土 六,水 七,金 八,木 九,火なり


『八卦の數』

一(金天)父、 鈍陽  二(金澤)少女、和合陰  三(火)中女、陽中陰

四(木震)長男、和合陽 五(木風)長女、陰含合  六(水)中男、陰中陽

七(土山)小男、和合陽 八(土地)母、 鈍陰 なり


『華道の数』

一、(天) 空     二,(地) 空   三(人) 和合

四、(四季)和合   五(五行) 和合    六,(地陰)和合

七,(天七星)和合  八.(八卦) 和合   九,(地陽)和合

十、(星干) 和合 十二、(十二支) 和合 十五、(七五三)和合陽

十六、(天地)和合 十八、(陰陽) 和合 廿四、 (節気) 和合

廿八、 (天) 陽。和合 三十、 (番神) 和合  三十六、(地) 陰。和合

四十八、(晝夜)和合   五十五、(天地総) 和合 六十四、(八卦総) 和合

七十二、(季土用) 和合萬物養成の元數  八十一、 陽極の數

百八、無明煩惱消滅の數

  

『三才総合の数性、生化作用法の解釋』

一、の數に降流氣あり。未生の氣あり。孤立の氣あり。感動の氣あり。停止の質あり。知謀の氣あり

二、發生の氣あり。養生の質あり。落簿の氣あり。成熟の質あり。遠慮の氣あり。髙慢の氣あり。不進の氣あり。

三、發達の氣あり。新進の氣あり。養成の質あり。自尊の氣あり。外装の質あり。柔弱の質あり。

四、成就の氣あり。考慮の氣あり。衰退の質あり。破壊の氣あり。溢流の氣あり。固執の氣あり。

五,和合の氣あり。成就の氣あり。養生の質あり。受納の質あり。依頼の氣あり。多情の氣あり。

不感の質あり。吝惜の質あり。慈愛の氣あり。執着の氣あり。戀慕の氣あり。

六,透察の氣あり。遠慮の質あり。不動の質あり。沈留の質あり。慈悲の質あり。強固の質あり。

不和の氣あり。剛堅の質あり。不進の質あり。収藏の質あり。

七、成熟の質あり。冷靜の氣あり。考慮の氣あり。麗飾の質あり。衰退の氣あり。多感の質あり。

高慢の質あり。依頼の氣あり。強固の質あり。

八、自重に質あり。多情の質あり。自尊の氣あり。鈍感の質あり。慈愛の氣あり。冥動の氣あり。

靜寂の氣あり。不進の質あり。

九,聡明の質あり。多感の質あり。禮守の質あり。妄動の氣あり。破壊の氣あり。麗飾の氣あり。

急進の質あり。斷絶の質あり。殺害の氣あり。

十、円滿の質あり。和合の氣あり。成熟の質あり。停留の質あり。慈愛の氣あり。遠慮の氣あり。

鈍感の質あり。亡滅の質あり。未生の質あり。収藏の氣あり。據

前記の數作は自然の理にして、萬代不易の法なり、上代の聖人皆俱に、此數を選擇して教法を定む。神儒佛の三教、是れに據らざるはなし、萬物の体は數に倚って成り、然る後に自然に亦音相備はる、故に天下に一物を生ずれば、必らず數と音を具備して、然る後に其用あり、故に亦音相の選擇規矩の基礎となる、されば産兒又は萬物の選名に音相を選む事必要なり、五音の性相の次第左に記す“


今回のコラムはここまでにしておきます。

次は上記の続きで、「五音の起例」から始めたいと思います。


5月は五節句のうち、端午の節句があります。

いつの頃からか、3月は女の子の節句、5月は男児の節句としてお祝いをするようになりました。現代はゴールデンウェークの中の1日が端午の節句になりますが、その昔は端午、いわゆる5月初めの午の日とされていたようです。3月も上巳の節句として3月初めの巳の日であったようです。共に語呂合わせで午が五、巳が三になって5月5日、3月3日となったようです。適当に祝日を変える動きは今も昔も変らないようですが、流石に今回の「華道玄解」での、数性と音相のことを考えたとは思えないようです。

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