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  • 未生流東重甫

2018年12月のコラム <陰陽五行9>


2018年12月のコラム <陰陽五行9>

毎年何かしら慌ただしい様な気になる12月師走となりました。京都も紅葉の名残で賑わいはありますが、もう冬支度、新しい年に向かって突き進む時期です。

 12月の24節気は、季節は仲冬、気節は11月節と中です。24節気の11月節は12月7日~12月21日が大雪、72候では初候が閉塞成冬(閉塞冬と成る。天地の気が塞がって真冬となる時節)、次候が熊蟄穴(熊穴に蟄る。熊が冬眠のために自分の穴に隠れる時節)、末候が鱖魚群(鱖(けつぎょ。鮭のこと)の魚群がる。鮭が群がり河川をさかのぼって行く時節)です。また、11月中は12月22日~翌年1月4日が冬至で、72候では初候が乃東生(乃東生ず、草木いずれも枯れている中で、夏枯草のみが緑の芽を出し始める時節)になります。

24節気から時節の訪れを感じると過ぎゆく時間が早く感じます。ましてや72候を思うと各候が5日程で過ぎていきますので休む暇もないようにも思えます。このように一年が急かされて過ぎていく中で、何を見つける事が出来たのやら。

今年も色んなところで陰陽五行を話す機会があり、その都度いけばなに携わっている自分を立ち止まって省みることができました。そしてそのたびに陰陽五行といけばなは切り離せないと再認識するばかりでした。

今年のテーマコラムでは1年を通して陰陽五行説についてでしたが、なじみのないことも多く、ピンとこないものもあったのではないでしょうか。そこで、年末の振り返りではないですが、要点について復習していきましょう。

* 陰陽説 古代中国の思想に端を発し、森羅万象、宇宙の全ての物が様々な観点から二つに分類されるという考え方。一方を「陰」とし、もう一方を「陽」とする。また、この陰と陽が全ての物を形成する上で無くてはならないと考えます。

* 陰陽の分類 陰陽互換:個別に存在する、また、一つの物体の中で陰陽の存在を示すこと 陰陽消長:時間の経過や場所の変化 陰陽制約:陰陽の釣り合いが取れるように作用すること 陰陽転化:陰陽の質的な変化 陰陽可分:陰陽それぞれの中に様々な段階の陰陽があること

* 数 偶数は陰、奇数は陽とし、例外として「二」は天地、二神(伊弉諾尊、伊弉冉尊)、男女など「物を生ずるの数」として和合の数と考え特に大切な数とする。

* 五行説 中国夏時代の創始者禹王により発案されたとされる万物は宇宙に循環する五つの元気「木・火・土・金・水」によって成り立っているという考え方。後に五つの惑星と結び付けられた。

* 五行の考え方 全ての物は五行に配せられ、そこに多くの意味があり、考え方の特徴として「五行相性」「五行相克」が挙げられる。 相性:気は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じる。 相克:とは、水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝つ。

陰陽説と五行説が紀元の始頃合体され、現在の陰陽五行説があります。以前のコラムで触れました十干十二支が、もっとも大切であり、陰陽五行説における陰陽説の考えの基本となっています。

いけばなでは三才説、混沌(天地未開)の時代から両儀(天地が別れる)、そして三才(天地を通撤するとして人が生まれる)があり、それに陰陽説、五行説を主に神・仏・儒の三道を踏まえて花を挿ける事はもちろん礼儀作法、饗応(おもてなし)の心構えなどを学ぶものです。

江戸時代の中・後期(1807年頃)に未生流は天地和合の姿として「直角二等辺三角形」を基とした花姿を世に広めたことで多くの人達の楽しむ花へと進んでいきました。しかし、昨今のいけばなは形をのみ必要とされ、大切な「精神」の方はおろそかになっているのでは?と感じることもあります。自戒を込めて、ではありますが、今だからこそ華道の精神を顧みることが望まれまるのではないでしょうか。

特に未生流は「華道」であり「人間道」であると伝書にも記されていますので、1年の締めくくりのこの時期に自分を見つめ直すこともしてみたいと思います。

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