top of page
  • 未生流東重甫

2月の花:極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)


2017年2月の花 極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)

ホームページ開設以来、毎月「今月の花」としていけばなに用いる花材を紹介していますが、これまで50種以上の花を紹介してきました。とはいえ、いけばなに用いる草花や木物の数は多く、こちらで紹介しているものはほんの一部にすぎませんが、季節の旬の花を紹介することが、目で季節を楽しむ手助けになればと思います。

今月は、今年が酉(とり)年であるために年末年始の花飾りに入手困難であった極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)を紹介します。

一般的にはストレリチアという名で知られており、酉年に関係なくお正月の花として愛用されている花材です。色と形がいかにもめでたそうな雰囲気の花材です。

極楽鳥花は、被子植物門、単子葉植物網、ショウガ目、ゴクラクチョウカ科、ゴクラクチョウ属に分類される多年草で、南アフリカ原産です。

 ゴクラクチョウカ科に属する植物には地下茎を持つ草本や、直立する茎が木本性になる樹木状の植物で高さ20mに達する種もあります。かつてはバショウ科の1亜科とされていましたが、葉が2列に互生して螺旋状に開出せず、花が両性で花被片は離生して筒状にならない点などから独立した科となりました。

南アフリカ南部の亜熱帯や暖温帯の海岸から山地の急斜面に自生しており、1773年イギリスのブラント・ハンターのマッソンによって発見されました。

また、学名をStrelitzia reginae 、英名にはBird of Paradise Flower、Strelitzia、Crane Flowerがあり、別名ストレリチア、またはストレチア、ストレリチアレギネです。ストレリチアの名の由来は、植物愛好家であったイギリスの王ジョージ3世の王妃シャーロットの実家メクレンブルク・シュトレリッツの名にちなんだとされます。

なお、花言葉には、万能、寛容、気取った恋、恋する伊達、輝かしい未来等があります。

日本名の極楽鳥花の名の由来は、鮮やかなオレンジ色のがく片と濃青色の花弁の花が咲いた花序が、極楽から来た鳥のように見える事から名づけられましたといわれています。

通常、高さ1m~3mくらいまで成長し、葉鞘で包まれた茎は横に這い、その分枝によって株は大きくなります。葉は革質の披針形で多数が2列に直立します。葉の基部から苞のある花茎を出し、その先端に20cmほどの船形で緑色をした革質の仏炎苞を直角につけ、その上に花が咲きます。花はオレンジ色で13cmほどのがく片の2枚が直立し、1枚がその2枚と直角に開出します。花弁は濃青色で9cmほどの矢じり形です。雄しべは5本あり、花弁から突出しています。

なお、ゴクラクチョウカ属は、5種からなり、いずれも南アフリカに分布しています。ストレリチア・ユンケアはよく似ていますが葉身がないか非常に小さく、一方で他の3種は直立する木本で幹の高さは10mにもなります。葉の質は柔らかく普通の風で簡単に裂けます。オウギバショウモドキは紫灰色の仏炎苞に純白の花が付き庭や公園などに植えられます。

<いけばなと極楽鳥花>

葉の大小を見極め、花と葉を取り合わせに加えても良いですが、葉の水揚げが難しいですので松や竹に花だけを取り合わせる事も多です。

いけばなに時々用いる白花極楽鳥花は、10mにもなる木本で、葉は大きいためあまり使われません。

伝承の花(格花)では、一種挿けで葉が大きいので2花5葉、3花7葉位でいけます。花の茎が1m程あるため、大きな作品の花材としても、花の特徴を活かして小さ目の作品に仕上げるのも楽しいものです。

花になる前は、つぼみは茎と一体化して先が鋭く、まるで槍のようになっているのでこれを活かしてみるのもおもしろいかと思います。花の蕾から開花した姿までが特徴のある美しさを持っているので、この美しさを使わない手はないでしょう。

#今月の花

最新記事

すべて表示

2023年6月のコラム「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧37 初夏の草木が、思い思いに陽差しを楽しんでいる様な景色が、私の心を和ませてくれます。春を待ちきれず花を咲かせる椿、初春に静かに咲く梅、春の暖かさにつれ満開の花を咲かせる万作や山茱萸、そして何より古代から親しまれてきた美しさの代表の様な桜と、美しく咲く花は沢山ありますが、山の木々がこれほど楽しそうに見えるのは1年を通してこの時期が一番ではないでし

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧36 2023年5月のコラム 今年の春は色んな物が賑わいを増してくれました。毎年桜は特に賑わいを感じます。人恋しい訳でもないでしょうが、人が集まると我を忘れてしまいます。これは若さということにしておきましょう。しかし、万葉集には詠まれていませんが古くは田の神の御座所とされていた桜の満開は日本の美意識を培ってきた一面もあります。上から眺める桜の景色は心躍る景色であったの

bottom of page