2016年2月のコラム 七種:竹花器(たけかき) 新しい年を迎え早1ヶ月が過ぎました。記録的な暖冬に始まり、突然の冬将軍到来です。 毎度繰り返される自然との掛け合いに冬を感じています。 24節気の初めにあたる2月の立春(節分の頃)は1年で一番寒い時期ではありますが、立春を迎えれば気持ちは春に向かい、元旦と同じように新しい1年の始まりを感じます。 というわけで、今年のコラムのテーマは、伝書から器や花留めを取り上げていきます。 あまり知られてはいないかもしれませんが、それぞれの流派で様々な花をいけるための器があります。仏花を基本とはしていない未生流でも基本的な器があります。今年は、伝書三才の巻に記載されています器の中から、未生流の宝器とされています七種竹花器や船、釣瓶(つるべ)、垂撥(すいはつ)、薄板花台(うすいたがだい)などについてご紹介していきます。 第1回目の今月は、未生流の宝器でもあります七種竹花器についてです。 伝書三才の巻に以下の説明があります。 これは座敷にかざる。先ず、垂撥に獅子口掛ける。次に寸渡切、次に鮟鱇を置き、中央に手杵その次に二柱、次に橋杭、それより垂撥に二重切をかける。置き花器は何れも行の花台を用う。巻頭は獅子口、巻軸は二重切なり。(以下略) 七種とは、獅子口(ししぐち)、寸渡(ずんど)、鮟鱇(あんこう)、手杵(でぎね)、二柱(ふたはしら)、橋杭(はしくい)、二重獅子口(にじゅうししぐち)の7種の器のことで、この組み合わせが基本の組み合わせです。 挿花百錬には、「三曲七つ道具竹花瓶(たけはないれ)として七種の竹花器がそれぞれ二種変化して合計二一種の花器を基本とする」と説明があり、この21種から変化して色々な花器が創られます。この変化(太さ、長さ、切り方の変化)については、伝書規矩の巻詳しく説明がされていますが、基本となる七種の変化は以下の図のとおりです。
華道を通して人倫を解く意を含み、その1つ1つの花器に深い意味があることから未生流の宝器とされています*。 草花を挿さず、ただ七種を並べ置き眺めることで、華道家としての精神が込められたものであることを感じ取る事が出来ます。 基本の七種の大意などを含め、次回からふれていきます。