• 未生流東重甫

12月の花:歯朶(ウラジロ)


お正月の注連縄や鏡餅には必ず、時には門松にも用いられている歯朶(うらじろ)ですが、なぜ用いられているかといえば難しいものです。 伝書には、事始めの花として白梅に歯朶と紹介されています。そこで、今年が終わり一足早く新しい年を迎える日の花として今月は歯朶を紹介します。

シダ植物は歴史も古く、種類もヒカゲノカズラ、ワラビ、マツバラン、トクサ、ゼンマイ、タニワタリなどの種類に分類されます。歯朶はシダ植物門、シダ網、ウラジロ科、ウラジロ属、ウラジロ種に属するシダで、英名 Gleichenia japonica Spr、和名をウラジロといいます。なお、ウラジロ科は、フサシダ科と共に起源の古い原始的な科であるとされています。 地下茎は細くて強い為、大きな群落を造り易く、本州東北部以南に分布しています。海外ではアジアの熱帯域まで分布しており、何段にも葉を出し、時に10mに達するほどの大きさになります。 葉の表は艶のある深緑色ですが、裏は白い粉を拭いたように白っぽい緑で、歯朶の名はこれに由来します。二又に大きく分かれた葉身が垂れ下がり、この姿から古来シダといえばウラジロを意味していたようです。

長寿を意味する「齢垂れる(しだれる)」にかけて年始の祝いに用いられるようになったとも、裏が白い、つまり共に白髪が生えるまでと解釈されたともいわれています。ウラジロ科の葉軸は丈夫でしなやかなので、編んで壁材や篭などの工芸品に利用する事が分布域で広く見られます。

<いけばなと歯朶> 特徴のある葉の出方をしているので、その葉を利用してお正月の花をアレンジに使用することもあります。また、格花(流儀花)の四季祝日の花の心得に説明があり、「事始」の花に白梅と二種でいけます。 傘を広げたように、葉身は横に開いて出ますので特徴でもある裏の白っぽい所を見せていけるのは難しいですが、工夫して愉しんで頂きたいものです。 取り合わせは自由に、金柑の実やアンスリュウムの様に質感や形の違うものと合わせると楽に表現できます。

自然手法より一工夫加えた造形手法でいけたいものです。

photo by harum.koh on Flickr

#花に寄せて #今月の花

最新記事

すべて表示

「華道玄解」 荒木白鳳著 閲覧28 2022年8月のコラム 8月に入り、連日異常な暑さが続いている日本列島ですが、この気候とは裏腹に、今年は8月7日から24節気では立秋にあたります。立秋前の18日間が雑節の土用で、今年の土用の丑の日は7月23日と8月4日の2度あり、いわゆる鰻を食す日があります。土用に鰻を食すようになったのは江戸時代から、と言われていますが、実は古く万葉集にも夏バテに鰻を食すことが

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧27 2022年7月のコラム 今年は久し振りに夏の京都の風物でもある祇園祭が開催されるようです。京都に住んでいると当たり前のような光景も、遠くの人には魅力のある祭りの1つだそうです。確かに「コンコンチキチン コンチキチン」とお囃子が流れると、懐かしくお祭り気分に浸れます。例年であれば宵々山、宵山と街中が人であふれるのですが、今年はどんな規模で催されるかは解りません。 随