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未生流東重甫

2月の花:福寿草(フクジュソウ)


今月は福寿草(ふくじゅそう)を紹介したいと思います。福寿草は、キンポウゲ科フクジュソウ属に属する多年草で、学名はAdonis ramosa Franchです。また、元日草(がんじつそう)や朔日草(ついたちそう)の別名を持っており、青森や岩手ではマングサ、ツチマングサと呼ぶ地域もあり、これは「土から先ず咲く」の意味です。 花言葉には幸福、永久の幸福、祝福、回想や悲しき思い出等があります。 日本では、北海道から九州の山林に分布し、生育します。花期は初春2月から3月中旬まで、黄色い3~4cmの花を咲かせます。当初は花茎が伸びず、短い茎の上に花だけがつき、徐々に茎が伸び葉も出てきます。この花は花弁を使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引しています。そのためか太陽の光に応じて花弁が開閉(日に当たると花が開き、日が陰ると花が閉じる)します。 春を告げる花の代表であり、古典園芸植物に属している園芸品種も多く、正月には藪柑子などと寄せ植えして縁起飾りとする風習があります。福寿草という和名も新春を祝う意味があります。 根には、強心作用・利尿作用があり民間薬として使われることがありますが、毒性も強いため、素人の利用は死に至る危険な行為です。また、地面から芽を出したばかりの頃は、蕗の薹(ふきのとう)と間違えて食べ、中毒を起こすので要注意です。 <いけばなと福寿草> 伝書三才の巻に、

節分は、榊に福寿草を応合(あしらい)挿ける。尤(もっと)も、根を切る事悪し

とあり、伝書体用相応の巻には、

福寿草は薄広口に石を飾りて一色挿ける事もあり。又は白梅の応合にも遣う。何(いず)れも白根を見せて遣うなり。その名芽出度き故なればなり

とあります。これは、根の扱いがポイントで、実際、福寿草は根がよく発達しているため、根を大幅に切り詰めると開花後すぐに衰弱しています。 とはいっても、根をすべて残していけるとあまり美しいものではありませんので、扱う際には注意が必要です。鉢植え等にする場合はなるべく大き目の鉢を選ぶと良いでしょう。また、春を告げるめでたい花として無闇に取り扱うことは避けたいものです。

(photo by TANAKA Juuyoh on Flickr)

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