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  • 未生流東重甫

2019年10月のコラム 住空間の花6


2019年10月のコラム 住空間の花6 今年も異常な気象に悩まされながらも、1 年で1番心安らぐ時節と言っていいほどの「美」の秋を迎えます。美食、美風、美声、美観、美薫と五官で感じられる秋は春に勝るとも劣らない美を感じさせてくれます。特に自然の美は、場所を変えるだけで同じものも別の美しさを感じられます。空は時間を追うごとに美の変化を見せ、地を見れば秋に咲く可愛い花が優しく佇み、山を見れば木々の着飾る姿か日に日に色を変えます。  24節気のコラムでこの時期の節気についてはすでにご説明しましたので詳細は割愛しますが、この24節気からも秋の紅葉が感じられます。錦織成す秋の風情を楽しみましょう。 NHK文化センター青山で昨年10月から始めた「住空間の花」も早いもので1年を過ぎました。 一枝一輪の美しさを追求して花本来の美しさを感じるよりもついつい形に美を求めてしまい、その結果、いけばなにも当然のように形を求めてしまいがちです。角度や釣り合いの取り方、三角形が生む美ばかりを考えていけていませんか?肝心の一輪一枝の花の美に無頓着になっていませんか? 花はどんなものでも美しいものと決めつけ形でごまかし、観る側の人間も「いけばな=形」として観てしまいがちです。 一輪一枝の美を追求する大切さを避けてはいませんか?一枝の美を表現できなくては自然の美を表現できることはありません。 基本はとても大切です。そして、一枝の美を知ることは、自然手法にも造形手法にも必要です。これを知らずにいけるのは基本を知らずに花を活けているのに等しいのです。 もちろん、形も大切です。だからこそ形から入る流派が多いのですが、形もある程度学べば基本に戻ることが重要だと思います。 日本の四季だからこそいけばな発祥の国になったのではないかと思います。そしてそんな発祥の国だからこそ基本の美を大切にしたいものです。

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