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10月の花:薊(アザミ)

October 18, 2017

2017年10月の花 <薊(あざみ)>

 

もはや毎年恒例になりましたが、今年が一番暑い夏であったと振り返ると同時に、朝夕の涼しさが秋の兆しを感じさせてくれる季節になりました。「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、いよいよ秋の到来と思っても9月のお彼岸を過ぎてもなお残暑が残るのが例年です。しかしながら、10月を迎えると流石に秋の訪れを肌で、目で、舌で感じます。自然を五感で感じていけばなに写し見る、これもまた秋の味わいです。

 

秋を感じて秋の花を思い浮かべると、不思議と薊(あざみ)が浮かんできました。晩春、初夏から咲くノアザミを観ながら、特にアザミの花のように荒んだ気持ちは持ち合わせてはいないのですが、なぜか思い浮かんでしまいました。秋だから楽しませてくれる草花はたくさんあるのですが、私にとって薊は秋草の1つのようです。これまで多くの草木を取り上げてみましたが大概は季節に密着した植物をと考えていますので、今月は薊をご紹介することにしました。

なお、ヤグルマギク、オケラ、ベニバナ、ゴボウ、アーティーチョーク、タムラソウ、ヤマボクチ等、薊の花に似た花が多くありますが、これらはキク科には違いありませんがアザミ属ではないので注意が必要です。

 

薊は、被子植物門、双子葉植物網、キク目、キク科、アザミ亜科、アザミ連、アザミ属に分類される植物の総称で、学名をCirsium Japonicum、別名には苦芠、眉作、統断、きつねあざみ、のあざみ、はまあざみ、ひめあざみ、ひれあざみ、まあざみ、やまあざみ等があります。

日本の薊は多彩で、北は利尻島、択捉島から南は石垣島、小笠原諸島まで分布している上、海岸から高山の頂きまで水平的にも垂直的にも広く分布しています。系統的にも原始的なものから進化したものまでさまざまです。北半球の温帯から寒帯にかけて約300種が分布しており、日本には60種以上あります。北アメリカ全土(約90種)には及ばないものの、中国やヨーロッパ全土より多く、さらにノアザミやヤナギアザミなどの4種以外の全てが特産種です。つまり、日本列島はまさにアザミ属の一大中心地といえます。

アザミ属は多年草あるいは2年草で、淡い赤紫か青紫の美しい花を付け、葉は深い切れ込みがあるものが多く、葉や総苞に棘があります。総苞が粘るものを分泌しているものがありますが、それが何の役に立っているかは不明です。また、薊にはなぜ棘があるのでしょうか。葉に棘があれば家畜に食べられる機会は減るであろうというデータは得られていますが、本当のことはやはり不明です。

 

 園芸植物としては、日本産のノアザミのみが利用されており、古くは「増補地錦抄」(伊藤伊兵衛政武著:1710年)にその記述があります。濃い赤色の花を咲かせるハナアザミもノアザミから改良されたもので、切花に用いられます。また、一般的に薊として用いられている種はいけばな用に栽培されているもので、野生ではありませんが、ノアザミなど季節に少々出てくる自然物もあります。以下、いくつかの種について簡単に説明します。

 

ノアザミ:頭花は3~4cm、淡い紅紫色。茎の高さは50~100cmですが、中には200cmに達するものもあります。頭花が常に上向きに咲き、総苞がべっとり粘る点が特徴で、白い花を咲かせるシロバナアザミがあります。 

ハマアザミ:海岸生の薊で種小名C.maritimumも「沿海地の」という意味。伊豆半島、紀伊半島、四国を経て宮崎日南海岸まで分布しています。 

ヤマアザミ:日本の薊には、小型の筒状の頭花を多くつけるグループがある。その代表がヤマアザミCirsium spicatumです。九州全域と四国に普通に分布し、産地の草原に生えています。頭花は1~1.5cmで穂状または茎に先に頭状に密集して付くのが特徴。茎は1~1.5mにもなります。東日本の代表がアズマヤマアザミ、近畿地方にはオハラメアザミ、滋賀県伊吹山特産のコイブキアザミ、静岡、三重、滋賀の太平洋側にスズカアザミ、北海道と東北地方にエゾアザミ等があります。

 

これ以外にもまだまだ外国種などを挙げると名前だけでもきりがなくあるアザミの種類ですが、いけばなに用いられる種は生息する地方に行かない限りわずかです。

 

<いけばなと薊>

 薊をいける際の注意点として、未生流の様々な書物に記載があります。

 

「薊は、刺ある草なれば目出度席には用る事有るべからず、…(以下略)」(表百か条より)

 

「尖針のものハ都て調伏の花也 客席に生ル事を禁ず 会席独楽に生る時ハ三光を備へへし 三光の枝葉を遣う時ハ調伏にあらず…(以下略)」(未生流挿花表之巻より)

 

「針ある花はすべて調伏の花なれは用ふべからず 但し根元に三光の枝葉を備へて挿る時苦しからず

三光とは所謂地水火なり 萬物此三光を交ざるもの為べからず 故に針を去り三光の枝葉を遣ひて諸木諸草と同列の物にして愛する也 されども床へは遠慮すべし 尤床花の應合いには苦しからず 枝葉遣ひ方口傳」(表花術三才の巻六十四ヶ條より)

 

また、未生流三才の巻禁忌二十八箇条の最後に「刺ある草木は調伏の花なれば用いずといえども、根本に三光の枝葉を備え挿ける時は苦しからず、参考というは所謂地水火なり。万物この三光を禀けざるものあるべからず。故に刺を去り三光の枝葉をつかい、諸木諸草と同列にして独楽、会席等には用うるとも客席へは遠慮すべし。併し上品の花は客席の花の応合等には用うる事もあり」とあります。

 

饗応の花とは、客席におもてなしの花としていけられる花のことで、客側の目で見て失礼の無きように心を配らなければなりません。ただの賑やかしの花ではありません。

 

三光の枝葉の用い方については口傳(くでん:口伝え。口で伝えること)として書物では説明されていませんので少し説明します。

地水火とは簡単そうで難しいですが、三才天地人の地、五行木火土金水の火と水と考えると楽です。全体のいけ方になりますと細やかに説明しないとうまく伝わらないのでここでは割愛しますが、いわゆる地は留、火は用、水は控の位置になります。例えば薊であれば三光の葉を用下に大きめの葉、控に中葉、留下に小葉を入れます。

また、三光の枝葉のいけ方、遣い方についても考え方の異なる説明があるので注意しましょう。

 

「全体の刺を去り」とありますが、全部除いてしまうと、薊らしさは消えてしまいます。表之巻に記されているように、薊は全体の葉の刺は取らずにいけて薊らしさを表現した方がいいのではと思います。

水揚げは切り口を3㎝程煮沸してすぐに深水で養い、アルコール液に浸けます。最近よく目にする水揚げ剤も効果があるようです。

当然ながら、どんな花材も切り口を水から揚げる時間を短くすることに気をつけましょう。

 

 

 

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