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7月の花:萱草(カンゾウ)

August 2, 2017

2017年7月 今月の花 <萱草(かんぞう)>

我々生け花に携わる者が“かんぞう”ときけば、ニッコウキスゲやヤブカンゾウのようにユリ科ワスレグサ属の萱草(かんぞう)を想像します。一般的に萱草はヤブカンゾウを指し、漢方薬の甘草(かんぞう)と読み方は同じですが、植物的にも全く異なるものです。
今月はこのキスゲ亜科ワスレグサ属の萱草をご紹介します。

萱草は、被子植物、単子葉類、キジカクシ目、ススキノキ科、キスゲ亜科、ワスレグサ属に分類される多年草で、英名をDay Lily、和名には忘れ草、忘るる草、萱草等があります。別名には、わすれぐさ、あまな、おにしこぐさ、かっこばな、ぎぼきな、しこのしこぐさ、しのぶぐさ、しょうび、とってこう、にくな、ひるな、やぶにんにく、川草花、仍叱菜、令草、石蘭、合歓草、児女花、忘憂、益男草、後庭草、紫萱、紫憲、婪尾春、皐蘇、絲葱、無憂草、黄鵠黔、鵞脚花、鶏脚花、鹿葱花、憂忘草 等々、少々物悲しい響きの名前が多いです。
なお、詩や歌に登場する青い花をつける勿忘草(わすれなぐさ)は全く別物ですので混同しないようにしましょう。

 萱草は、東南アジア原産ですが日本での歴史も古く、万葉集にも4首詠まれています。
花には昼咲、夜咲、昼夜咲のタイプが区別され、種を識別する特徴にもなっています。
日本に自生している種でよく知られているものに、ニッコウキスゲ(「日光黄菅」の名はありますが、本州の中部地方以北、北海道、南千島、サハリンに広く分布。別名「禅庭花」。尾瀬に咲くニッコウキスゲは特に美しく毎年ハイカーで賑わいます)、トビシマカンゾウ、ユウスゲ、ノカンゾウ、ハマカンゾウ、ニシノハマカンゾウ、ハクウンキスゲ、ホソバキスゲ、エゾキスゲ、ヤブカンゾウ、アキノワスレグサ、ホンカンゾウ、トウカンゾウ(名前から中国原産されていたが、長崎県の男女群島のものであった)、ヒメカンゾウ(アムール地方原産といわれますが、日本でも江戸時代からよく栽培されてます)等があります。英名のとおり、一日花といわれるカンゾウが多いですが、昼夜先などもう少し長く咲く種もあります。

園芸品種の改良は特に米国では盛んで、種間の交配が容易なため、ホンカンゾウやトウカンゾウ、あるいはユウスゲを親にした交配種が20世紀になって作出されています。

キスゲ属は、ユリ科の代表的な植物の1つに思われていますが、散形花序をつくる種を含み、花には円筒が発達、葉は線形で2列互生をするなどの特徴があり、その系統的な位置が問題になっており、キスゲ科を新たに設定する考え方もあるようです。
また、キスゲ属の植物は、観賞用に栽培されるだけではなく若芽や花は野菜として食用にされます。中国料理で金針菜(きんしんさい)と呼ばれているのはユウスゲやホンカンゾウの花を乾燥させたもので、日本でもトビシマカンゾウの花は塩漬けにして食用にされます。

 

<いけばなと萱草>
萱草は、未生流の伝書「体用相応の巻」に長葉十種挿け方の心得十箇条として、シャガ、イチハツ、オキナグサ、カンゾウ、マサムネショウブ、ガマ、ハナショウブ、カキツバタ、スイセン、ランの十種と併せて説明されています。
萱草については以下のとおりの記述があります。

萱草は花組葉の外に添うて出る。万年青の実の生ずる処と同様なり。故に挿す時は葉にて姿を調え花は外より添えて遣う。株分けにして二株三株も挿ける。一株に花一本ずつ遣う。花囲の葉あるべし。

萱草の出生は、向かい合う葉の中から同じ向きに新しい葉が幾重にも出て、その葉株の外から花茎を伸ばします。もっとも花茎に添うように葉が出るので、この葉を花囲いの葉と称して実の姿にします。向かい合う葉の外側の葉は硬くよくそっていて、中から出てくる葉は硬くてまっすぐな葉のため揉められません。
二花で挿けるには比較的容易く美しく挿けられますが、三花になると向かい合う一株を作るのが難しくなります。格先になる葉は少しそったものを選びますので適当な葉が多くありますが、体と用の間に入る体と用の向かい葉、そして留の向かい葉は添っているといけ難いので、まっすぐな葉を選びがちですがあまり若い葉では意味がありません。
まず、葉選びをするとき、少し太い目で直ぐな葉を選んでおきます。また、花囲いの葉も直ぐで古い葉が好ましいものです。揉めが効かない葉はうまく選ぶことが美しくいけることに繋がりますので、葉を選ぶことに力を注いでいけましょう。
花の高さはあまり高くても映りません。基本的な寸法である花と葉が10対8程でいけると良いのではと思います。用の花が体の葉より高くならない様に、また、留の花が用の葉より高くならないのが常法です。時に花が短い場合は、全体が短すぎるのも美しくないので、花を通常より少し短めにいけます。
花を知り、景色を感じていけます。花は自然が美しい!そこへ気品を持たせるのがいけばなです。

 

 

 

photo by Hans on pixabay

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