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  • 未生流東重甫

2017年7月のコラム <二管筒>


2017年7月のコラム <二管筒>

今年は6月まで未生流の器の中でも寄せ筒の基本である二代家元創意による三巻筒についてご説明してきました。 花をいける器には多くの種類がありますが、その中でも未生流伝書「規矩の巻」にあるような形や寸法に意味を持たせて大切に扱われる器は少なく、また器の素材も、基本的に竹と桐の木がほとんどです。 陶器の場合も、銅や鉄で作る場合も伝書規矩の巻を参考に作る方がいける際も使いやすいものです。 今月は、数ある竹花器がある中でも伝書に説明が見当たりませんが、日頃の花展などではなじみ深い二管筒*(にかんつつ)についてお話しします。

<二管筒> 伝書規矩の巻には、三巻、五巻の寸法の説明がありますが、二管についての説明はありません。これは、二管に花をいける場合、基本的に三巻筒から二管を選ぶことに起因しているのかもしれません。 ご存知のとおり、三巻の基本的な寸法は、それぞれ約72cm、48cm、30cmです。二巻の場合、陰陽を思い浮かべますので、二巻の寸法差は10対7が適当に思われますが、花材やいけ方、表現の仕方によって変化は許されるものです。 三巻から二管の組み合わせは、一の筒か二の筒と三の筒、つまりは一の筒と三の筒もしくは二の筒と三の筒の組み合わせが考えられます。一の筒と二の筒を組むことはあり得ないとは言えませんが、通常ないと考えて良いです。これは節の数によるもので、基本的には一の筒と二の筒は二節、三の筒は一節で創ります。節の数を陽の数にしますので、3節が基本となり組み合わせが決まります。まれに五巻筒の内の二巻を用いることもあります。五巻の寸法は約72cm、54cm、48cm、32.4cm、24cmで、節の数も一の筒からそれぞれ3、2、2、1、1節で、二管の組み合わせは多くあります。 景色挿けで広口に二管加えるなどして大きな景色を描く場合、二管なら置く位置は当然のこと、高さや節の数も考えながら選んでいけます。

<いけ花と二管筒> いけ方も自由で、花材によっては長い方に竪姿、短い方に半横姿をいけることもあります。景色を表現するにおいて、基本的に長い方の筒(約72cm)を用いるなら横姿をいける方が無難だと思います。 規則に違わず花をいけると考えて花姿を整える事は大切ですが、谷間分け、株分け、魚道分け、水陸分けと一株いけるだけではない場合、景色を描く思いで花をいける事も望まれます。そのためにも日頃景色に感動する事がいけばなに繋がるものと思います。 景色の中でつい見逃しがちな小さな花も一生懸命自分を生きている、そんな姿が私は好きです。

*:三巻筒の巻は「巻」ですが、二管筒はあえて「管」の字をあてています。三巻筒には大意があり、その意味を疎かにする事は出来ないこと、二管はアレンジに属するもので、三巻筒と異なる意味であることを字で表しています。伝書に載っているわけではありませんが、意味を解するのも大切な事です。

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