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  • 未生流東重甫

7月の節気:小暑と大暑


早いもので2014年も半分が経過し、この24節気のコラムも折り返し地点を通過しました。少しでもこの24節気を身近に感じていただければ幸いですが、現在でも「暦のうえでは」と天気予報等で使われていますので自然と耳慣れた言葉になっているのではないでしょうか。のこの暦、とは24節気に基づくもので、農作業や園芸の作業などにとって季節の微妙な推移を知る為の目安になっています。 こういったことからも私たちが体感する季節は少し早目ではありますが、24節気が合うように思えます。 ちなみに今回ご紹介する小暑と大暑は、小寒と小暑が、大寒と大暑がそれぞれ互いに半年後・半年前の関係となっています。 <小暑(しょうしょ> 小暑は24節気の11番目にあたり、旧暦6月未の月の正節で、今年は新暦の7月7日 (夏至から数えて15日目頃)から大暑の前日7月22日までの16日間です。定気法では太陽横径が105度の点を通過するときをいい、また、この日から暑気に入り、暑中見舞いも出されるようになります。 夏至を境に昼の長さは徐々に短くなってきますが、実際には実感されないようです。小暑の前後に梅雨が明け、夏の太陽が照りつけ、暑さは日増しに加わってきます。また、最近では梅雨明け前のいわゆる集中豪雨に見舞われることも多いので注意が必要です。 なお、小暑の終わり頃(今年は7月20日)から立秋の前日(今年は8月6日)までが雑節の土用(どよう)になり、小暑あるいは大暑から立秋までの間が「暑中」となり、暑中見舞いはこの期間に出します。 小暑の72候の初候として、温風至(おんぷう いたる:暖かい風が吹いてくる)、次候として蓮始開(はす はじめて はなさく:蓮の花が開き始める)、末候として鷹乃学習(たか すなわち がくしゅうす:鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える)があります。 <大暑(たいしょ)> 大暑は、24節気の12番目にあたり、旧暦5月未の月の中気で、今年は新暦の7月23日から立秋の前日8月6日までの15日間です。定気法では太陽横径が120度の点を通過するときをいいます。西洋占星術では、大暑を獅子宮(しし座)のはじまりとしているようです。 梅雨明けのこの時期はますます暑くなり、酷暑の季節でもあります。桐の蕾がつき始め、アブラゼミ(関西では温暖化のためクマゼミの数が増えているようですが)がうるさく鳴くころですが、暑さに負けず咲く百日紅(さるすべり)の真紅の花が印象的です。ときどき大雨が降り、大地が潤って蒸し暑くなります。 また、大暑の全てが夏の土用に入ります。 大暑の72候の初候として、桐始結花(きり はじめて はな むすぶ:桐の実がなり始める)、次候として、土潤溽暑(つち うるおいて あつし:土が湿って蒸し暑くなる)、末候として、大雨時行(たいう ときに ゆく(ときどき おこなう):時として大雨が降る)があります。 余談ですが、7月の雑節に半夏生(はんげしょう)と土用(どよう)があります。 半夏生は、夏至から11日目頃、現在は太陽が黄経100度を通過する日とされています。72候にも出てくるもので、半夏とは薬草のカラスビシャク(サトイモ科)の事で、これが生える頃だからといわれています。農家にとっては大切な日で、田植えのタイムリミットの日とされています。ちなみに半夏生は三白草の別名でもあります。 土用といえば夏の土用の丑が有名ですが、実は年に4回、四立(立春・立夏・立秋・立冬)の前日までの18日間のことです。今年は、7月20日から8月6日(立秋の前日)までで、このうちの15日間は前述の大暑となります。土用の丑に鰻を食する習慣は、江戸時代からといわれており、夏に売れない鰻を売るためか、鰻を食べて体力をつけるため、など様々な理由がありますが、この夏と反対の季節の冬の土用が丑(うし)の月(旧暦の12月、新暦のおおよそ1月)の中気にあたります。丑の〝う″が付く梅干しや瓜を食す地方もあるそうです。 7月の別名には、文月(ふづき)、親月(しんげつ)、相月(あいづき)、桐月(とうげつ)、蘭月(らんげつ)、涼月(りょうげつ)、健申月(けんしんげつ)、秋初月(あきそめつき)、女郎花月(おみなえしつき)、七夕月(たなばたつき)、愛逢月(めであいづき)などがあります。 多くある季語から少し挙げてみます。半夏生、山百合、姫百合(この他にも百合は沢山あります)、月見草、合歓の花(ねむのはな)、綿の花、夕顔、蒲、水葵、睡蓮、蓮、蘇鉄の花、月下美人、ダリア、向日葵、風蘭、ハマナス、野牡丹、など、花に関係する季語だけでもたくさんあります。この他にも川床、納涼、瀧、苔清水、打水、行水、月涼し、露涼しなど、いかにも涼しく感じられる言葉も嬉しいものです。 時候の挨拶には、盛夏、猛暑、仲夏、酷暑、極暑、炎暑、烈暑、大暑の後に、「~の候」や「~のみぎり」などをつけて使います。 手紙の書きだしには、暑中見舞い申し上げます、長かった梅雨もようやく明け、風鈴の音色が心地いい…、夏木立の緑濃く、木漏れ日も輝く季節…、青空がとても眩しく感じる今日この頃…、などがあります。暑い日に「暑いね!」と言われてもあまり嬉しいものではありませんので手紙で相手を気遣う言葉は大切なものです。そんな言葉を書いていると心も優しくなるような気がします。こういった気遣いはいつまでも大切にしたいものです。

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