新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
今年の干支は壬寅(みずのえのとら)です。十干の壬(みずのえ)は、五行の木・火・土・金・水のうち、水の陽であり、甲(きのえ:木の兄)、乙(きのと:木の弟)の概念から、兄弟でいう兄といわれ 、河川の水や井戸の水など自然界の水とされます。また、十二支の寅は、五行の五神では西の守り神白虎に通じます。清く活きた水と西の守り神白虎とでコロナ退治です。何事も良いように解釈すれば良いでものです。
昨年一年はコロナ禍であったことが背中を押してもらい、今まで考え付かなかった新しいことに挑戦することが多く、私に取っては大変有意義な1年でありました。
自身の年齢だけでなく、コロナ禍という世情もあり、1年、四季、1ヶ月、週間そして一日、1時間の大切さを感じることが多くなりました。そして言葉に対しての感じ方も、変わってきたことを自分なりに感じます。
能楽師世阿弥が「花鏡の奥伝」に
「初心忘るべからず 時々の初心忘るべからず 老後の初心忘るべからず」
と残しています。味わい深く、中々難しいことかも知れませんが、感じるところはあります。
また、儒学者佐藤一斎が「言志晩録」に残した言葉に次の言葉があります。
「少(わか)くして学べば 則ち壮にして為すあり 壮にして学べば 則ち老いて衰へず老いて学べば 死して朽ちず」
私にとって今がこんな事を思う旬なのかも知れません。安岡正篤氏曰く、「忙しいと云う字は、心を失うと書く。心を失っては駄目である。」
確かに忙殺されては志や感情までが忘れ去られてしまいます。我を忘れず、何事においてもその時々の初心忘るべからず、老いた今も初心を忘れては前に進んだことにはならない気がします。
未生流には「原一旋轉」という言葉があります。進んでは戻り、また進んでは戻る。でも最初の一歩に戻る事はない。時々の初心忘るべからず、ということでしょう。
今年を振り返ったとき、何か1つで良いので、一歩踏み出すことが出来ればと思います。皆様には、日々輝ける、また、輝かしい過去創りとしての1年を過ごされますことを祈念いたします。
2022年1月吉日
未生流 東 重甫
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