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未生流東重甫

2021年を振り返って

今年もいよいよ年末を迎え、無事このコラムを書く日を迎える事が出来ました。感謝です。昔を振り返らず、毎年、毎日私にとっての初めの一歩を踏み出しています。長く歳を重ねて参りました中でも、流石に思い出深い1年であった事には違いありません。


良きにつけ悪しきにつけ、この1年を振り返ってみると、色でいえば晴れ晴れとした空の色を思います。その青空にゆっくりと身を任せて浮遊する雲のような心地よさを感じます。年の初めに近くの長岡京市の長岡天神で、孫達と書き初めをした事を思い出します。「泰然自若」は毎年のように自身のテーマのように掲げてきた言葉ではありますが、その一方で近づくことが出来無かった言葉でもあります。古希もすぎたこの年になり、ようやくこの言葉の意味を感じることが出来るようになったことは今年一番の収穫かも知れません。コロナ禍での生活が当たり前のようになって久しい世情となってしまいましたが、私にとってはこの世情だからこその初体験の連続で、周りの人に助けられながら、やっと今に至っている思いがします。


いけばなでは、周りの人達から伝書講義の要望があり、久し振りに講義してみようと思ったところへ、今度は遠くて参加できない人のためにオンラインで伝書講義をやってみてはと、話しが進みました。

 こちらのホームページではコラムも10年近く書き続けていますが、手助けがあればこそで、哀しいかな自分でどうこうすることも出来ません。力強いスタッフの助けのもと先ずは「三才の卷」から進めています。聴き手の表情を見たり、アイコンタクトを取ったりしながらの講義は楽ですが、一方的に話すことはなれないこともあり、始めた当初はとても苦労しました。

オンライン講義を数回終えた5月頃には、NHK日曜カルチャーラジオで話してみませんかと、お話しを頂きました。何事も体験と無謀にも引き受けまして、初体験に挑戦する事になりました。


思い起こせば、孫達と書き初めも初めてなら、オンライン伝書講義はもちろんラジオ講座への出演も初めて、加えて未生流初めてのオンライン夏季講座にて実演、井筒附き釣瓶をいけましたがこちらも初体験でした。初体験づくしの2021年でしたが、コロナ禍であったことも背中を押してくれたことは間違いないと思います。


いつ何が起こるか解らないと思いつつ、過ぎていく時間の早さに驚きつつ1年が過ぎていき、また、この世情だからこその一年ではありました。そして初めて尽くしだったこともあり、私にとっては何年分も生きたような気がしています。こんなときこそ安岡正篤の「忙中閑有」ではありませんが、一時を大切にしたく思えます。


今年も1年間、お付き合い頂き有り難うございました。最後まで私なりの思いを込めた一年にすべく、残り少なくなった過ぎゆく年を大切に過ごしたいと思います。

それでは良いお年をお迎えください。


2021年12月吉日

未生流 東 重甫


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