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未生流東重甫

2019年7月のコラム 住空間の花3


2019年7月のコラム 住空間の花3 

未生流恒例の「夏季講座」が大阪梅田のサンケイブリーゼにて7月20~21日の2日間で開催されます。今年も2日目の新花での解説を担当させていただきますが、今年のテーマは「色彩」であることから、舞台で実演される5名の先生方にそれぞれ夏の花材から選ばれた花材の色をテーマとして表現して頂きます。

未生流でも表現法は自然手法、色彩手法、造形手法と色々分けてありますが、まだまだ理解されていないために作品の趣旨が解り難いことがあります。夏期講座では色彩手法についても説明をする予定ですが、このコラムの読者の方にも注意して頂きたいのがうわべだけの色を見ないことです。

色の意味の深さについてこの20年くらいで確立された色彩学を含めて学ぶ必要があります。花を美しくいけることだけでは「いけばな」とは言えない時代ではないでしょうか。いけばなとはその作品にいけた人の意(こころ)が入ってなければなりません。

さて、住空間の花についてのコラムは今回で3回目ですが、住空間の花とは一枝一輪の美しさと玄関やリビングにも気軽に楽しめる花を求めることです。技巧を凝らし、「私がいけた花を見てください!」といったメッセージの花では、鑑賞する側の人も自分の趣味に合わなくても褒めなくてはならなくなります。それでは花が可愛そうです。さりげなく、気付かれなくてもその場が和らぐ花が「おもてなし」ではないかと思います。

流派が異なるいけばなでも形を求め、形ありきの花が多く感じることがあります。これではいけ上がった花はなるほど美しいものかも知れませんが、花一輪に求められるほど気の配られた花になっているかは疑わしいです。まずは花一輪の美しさを表現できることが、形を美しくいけることに繋がり、そして自然観を表現できることではないかと思います。

未生流では「一挿し」といういけ方がありますが、これは格花でも新花の自然手法を挿ける場合でも必要なものではないかと思います。完成の形を求めすぎるあまり、手練の上達は二の次になっていることが多いのではないでしょうか。今一度、基本を学ぶことの大切さを感じてください。この基本が一挿しであり、住空間の花はその応用ともいえるものです。花一輪の美しさを愛でておられる方にも言えることかもしれません。

花の美しさを理解していけばなに取り組む姿勢が大切です。

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