2018年9月のコラム <陰陽五行6>
7 月の下旬頃、突然蝉の声が聞こえてきました。この日まで聞こえていたかどうか覚えていませんが、実に賑やかです。私が子供の頃は油蝉やクマゼミがよく捕れたもので、羽が茶色や透き通ったもの、声を出すもの出さないものと色々かごに入れて楽しんだものです。そして9月になり、夏の終わり頃になると蜩(ひぐらし)の声が聞こえ始め、このように夏の風物も時期を追って変化していきます。
これまでのコラムで24節気72候について説明をしていますが、立秋の末項で「寒蝉鳴」とあります。
この寒蝉とは秋に鳴く蝉である蜩を意味しており、この寒蝉の声が聞こえなくなると秋の訪れです。
さて、8月のコラムでは、「五臓の色体表」から我々の生活の密着した五行の配当を紹介しました。今月は、未生流伝書「草木養の巻」から紹介します。(「養第一心得の伝」より引用)
諸の草木の養を施さんと欲すれば、先ず四季寒暖の移り更り、陰陽消長するの季節、かつ風雨霜氷の毒となり薬となるの道理を、委しく弁えざるべからず。然して寒暖の両気五行をなす。所謂木火土金水なり[KS1] 。
この内容をまとめると下表のとおりになります。
なお、淮南子「天文訓」による「臓」の配当では脾、肺、心、肝、腎となり五行の配当の肝、心、脾、肺、腎と少し異なっています。これは五行の順序で、淮南子は木火土金水で相性の順ですが、洪範は水火木金土で生成の順としているためです。
伝書「草木養の巻」では以上のような配当から季節に陰陽五行をあて、草木の養いに結んでいます。五臓の色体表では説明通り人体に対しての役割を五行に当てて説明していますが、この五行を草木にも役立てるべく考えられたもので、如何に養いが大切かを知らしめています。
伝書「三才の巻」の花道第二の心得に、次のような記載があります。
“伐りたる草木に養いを施す事肝要なり。篤と水上がりて後席上へ移さんと欲して心得べき事(一)その席も花(二)花台薄板も花(三)花器も花(四)花留も花(五)水も花(六)鋏も花(七)挿ける姿も花(八)挿ける草木は勿論花(九)心も花となるべきは冀う処なり(以下略)。”
切った草木に再び命を授け、姿を調え活かしてやる…こんな気持ちで花をいけたいです。
美しく花をいける為には、季節を考え養います。日本は一千年余りの歴史しかないですが、五行は独自の日本文化として培われたものですので是非様々な方面から覗いてみてください。
10月は十干十二支について考えたいと思います。