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未生流東重甫

4月の花:連翹(レンギョウ)


2018年4月の花 <連翹(れんぎょう)>

心機一転全てが新しく、これからの夢を感じる事の出来るまさに年度初めの月が4月です。4月には、和名で卯月(うづき)や卯花月(うのはなづき)、花残月(はなのこりづき)、得鳥羽月(えとりはづき)などがあり、漢名には、純陽や仲呂、余月、之月、陰月、麦秋月、麦候、正陽、清和月、孟夏、初夏、首夏、維夏などがあります。これらの他にも夏初月(なつはづき)、乾月(けんげつ)、建巳月(けんしげつ)、木葉採月(このはとりづき)、鎮月(ちんげつ)等があります。

1年の4番目の月であることから12支の4番目の「卯」があてられたともいわれています。和漢の異名は旧暦(陰暦)で現在も使用されています。なお、新暦(陽暦)では立夏以後になりますので5月から6月にかけての時候です。農耕民族である日本の風土に合わせて、種月(うづき)、植月(うゑづき)、田植苗月(たうなえづき)、苗植月(なへうゑつき)と呼ぶ場合もあります。

 山茶花に始まり椿が終るまで半年以上あり、この期間にどんな花が楽しませてくれたか花の数を指折り数えるのも季節の流れを感じて楽しいものですが、今月は桃や桜の下で色鮮やかに咲く連翹(れんぎょう)を取り上げてみます。

連翹は、被子植物、真正双子葉類、キク類、真正キク類、シソ目、モクセイ科、レンギョウ属に分類される落葉性低木広葉樹です。学名は、Forsythia Vahl、別名にはいたちぐさやいたちはぜ、きだちれんぎょう、きれんぎょう、度厄銭、連喬、建異、軹連草、連翹空木等があります。また、中国名は黄寿丹です。

 和名のれんぎょうは漢名の連翹を音読みしたものです。実は中国では連翹とはトモエソウ又はオトギリソウのことで、誤用されたようです。なお、モクセイ科には連翹やモクセイ、ライラックなどの庭木やアオダモやヤチダモなど有用な木材になる高木、オリーブなどの果実、ジャスミンなど香料に用いられる低木を含む木本性の科で、つる性のものもあります。世界の熱帯から温帯にかけて約30属600種が見られ、日本には7属26種ほどが分布します。

連翹は、中国中東部に広く分布する高さ2mほどの低木で、枝は立つか垂れ下がり、節の部分以外は中空です。葉は広卵形から卵状楕円形で、ときに3裂して対生し、粗い鋸歯を持ちます。花は、3月~4月頃に葉に先だって咲き、花冠は4深烈する。蒴果は長卵型でとがり、種子には狭い翼があります。日本では江戸時代前期の17世紀後半に栽培の記録がありますが、平安時代に栽培されていた説もあります。

<いけばなと連翹>

他流派においての古書では枝垂れ物として扱うことが多いようです。前述の通り、垂れる枝も有れば立ち昇る枝もあります。また、枝の付き具合も密につくものと適度につくものがあり、いけばなに遣う場合その用途を考え選ばなくてはなりません。花屋さんに「連翹何本」と注文するだけでは不十分ですので注意しましょう。

花の色もレモンイエローや少しオレンジがかったものがあるので都度選ぶ必要があります。

用途は様々で、背の高い花器に抛げ入れ(なげいれ)や掛け花入れにも合いますし、水盤で春の陽射しを表現も可能です。格花(伝承の花)では寄せ筒の横姿や掛け花器に横姿、寄せいけで竪姿の用や体にも遣う事が出来ますし、一種いけも可能です。

色の艶やかさから大胆な色使いも楽しめます。大きな空間での湾曲する長い枝の動きや秋の紅葉する時期にも枝ぶりを活かしての格花としても用いることができます。

水揚げもよく、大きなホールに大胆にいけても2週間程度は美しく咲いてくれます。ただし、どんな花でも空調の風が直接当たると花弁が乾燥して枯れますので注意してください。

photo by Cookie M on Flickr

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