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未生流東重甫

2017年4月のコラム <三巻筒 両儀(りょうぎ)>


伝承の花の花器にはいける場所や用途により様々な形のものがあり、花器の材質も同様に、竹製、木製、陶製、銅製、鋳物、硝子等、種々あります。なお、未生流におきましては真・行・草の花器として真は唐金、行は陶器、草は竹と決められています。その中でも竹の器は未生流の「七種竹花器」(昨年のコラム参照)とその変化として合計21種の竹器が宝器とされ、この21種の宝器から色々形に変化を加えていく種もの竹花器が創られてきました。

この竹花器は、五大(空、風、火、水、地)から導き出される寸渡の寸法と活の員数*によって切り口の大きさや柱の太さなどが決められています。また、筒の長さの変化で見せる2代家元未生斎康甫法眼好として三巻筒や五巻筒のような寄せ筒もありますが、この場合は伝書規矩の巻の寸法についての説明のとおり、太さに応じて長さが決められ、その長さは活の員数から決められています。 太さ6~7寸(直径6~7cm)の三巻の場合、1の筒(1番長い筒)は2尺4寸(24の数は1年24節気の24、もしくは1年12陰陽一環りの合数とも言われています)、2の筒は1尺6寸(16の数は天地の数とされ陰の8と陽の8又は天の数7と地の数9の合数)、3の筒(1番短い筒)は1尺(1の数は天の数であり万物の初めの数)です。 近頃、三巻筒は直径10cmまたはそれ以上ある太さの竹で造る事が多く、花器と花との釣り合いを考えていける必要があります。

<三巻筒 両儀(りょうぎ)> 両儀とは、宇宙の本体である太極から分かれて生じました天と地、すなわち陰と陽で、天が陽、地が陰です。 太極の上部(清く美しく軽い部分)が陽を兆して左旋し天となり、下部(濁りのある重い部分)が陰を兆して右旋しながら分かれて地となり陰陽両儀が出来ます。 筒の置き方は3の筒を中心に、1の筒と2の筒を左右に置きます。真横に並べる、または3の筒を少し前に出す等して並べます。 1の筒を天とし、大きく力強く竪姿にいけます。正面から見て1の筒を左に置けば主位で右に置けば客位の花姿をいけます。続いて2の筒は地とし、1の筒の反対の花姿で横姿をいけます。この2つの花は陰と陽であり、1の筒の竪姿は男性的に力強く、2の筒の横姿は母なる大地を思い優しさの中にも温かみのある姿をいけます。1の筒と2の筒で高低、大小、強弱をつけ、相争うことの無い全体の調和した姿が望まれます。3の筒は1の筒と2の筒の間に置き、天地和合のつなぎで未だ生物の生ぜざる姿として水を十分に入れておきます。しかし陰陽和合し、やがて万物の生ずる源ですので葦一色、無一物の葦の心で小さく格に拘らず、又木を向う付けでいけても良いです。 荘重、荘厳の姿をいけます。天地の姿で中振り程度にまとめます。1の筒2の筒とも五行格で枝を活かしたいけ方で、1種の花材より陰陽2種の花材でいける方が望ましいようです。 また、花材の意味を考え、1の筒に松、2の筒に白梅、3の筒に水仙のような物を選びます。 以上のとおり、三巻筒には大意があり、その置き方の意味を理解したうえでいけたいものです。

*:伝書規矩の巻に、「天は四方に七を司りて二十八宿を体とす。地は四方に九を司りて三百六十度の元とす。天地人三才、陰陽五行、十干十二支二四節の員に寄り表裏曲尺の目を用い、一より百八迄の中、活の員に当て寸尺を定めたる器物は自然に叶いて天下の宝器なり。」とあります。

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