2016年10月 今月の花<十月桜>
24節気ではいよいよ晩秋を迎え、今年は10月8日が寒露(かんろ)、23日は霜降(そうこう)です。72候では、寒露は雁が飛来し始め菊の花が咲き始める時期となり、霜降は霜が降り始め小雨がしとしと降りもみじや蔦が紅葉し始める時期となります。また、収穫を終え秋の祭りがそこかしこで行われる時期でもあります。秋祭りは、運動会や文化祭と時期を同じくして行われるため、子供にとっては大きなイベントの1つでもありましたが、最近は地域に密着したイベントは少なくなったようですが、それでも菊花祭や紅葉狩りは多くの人で賑わっています。
今月はそんな秋の賑わいを感じながらも時期を違えてでも目を楽しませてくれる十月桜(じゅうがつざくら)をご紹介します。
十月桜は、被子植物門、双子葉植物網、バラ目、バラ科、サクラ属、ジュウガツザクラ種に分類される桜の園芸品種です。英名は、Cerasus subhirtella’Autumnarisで、エドヒガン系列のコヒガンの雑種とされています。 花は年に2度咲き、10月頃に3分の1、翌年の4月に残りの3分の2の花が咲きます。 花弁は半八重咲で、5枚から18枚位あるものがあり、色は白から薄いピンク色、春に咲く花の方が少し大きめになります。
十月桜とよく間違えらえる品種で「冬桜」があります。この花の花弁は一重で5枚、白っぽい色をしています。また、秋に咲く花で十月桜、冬桜とは別に四季咲きの不断桜や返り咲きの染井吉野の花などがあります。 秋の植物園で花の数はあまり多くありませんが桜の花が咲いている木を見つけては「今頃桜が咲いている?」と驚いている人を見かけます。桜というと春を思い浮かべてしましますが、実はこの時期の花であることも多いのです。また、この時期に咲く桜を総称して「冬桜」と呼ぶこともあります。
まばらに咲く桜の枝に名残の紅葉がついている姿は趣があるものです。春に咲く桜とは違い、季節の贈り物のような気がします。
<いけばなと十月桜> 稽古の花材としてよくみられるもので、長い間咲いて目を楽しませてくれます。春の桜と違い、秋の侘びた雰囲気の花姿が似合うようです。 また、伝承の花をいけるのに適した花材です、また投げ入れや盛り花にも似合うものです。 一般的に桜は揉めやすく、形が整いやすい花材の1つで、一本一枝の役目を感じながら挿けたいものです。 どの花材にも言える事ですが、手にした枝を活かすことが望まれるもので、理想の形を追うだけの花にして欲しくはありません。そのためには花材を知り、自由に取り扱うことが出来る事は当然のこととして、最も大切なことは風情・情感を楽しむことです。
いけばなは、その花を活かすことが第一で、そのことが場を活かすおもてなしに繋がります。
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