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未生流東重甫

七種:竹花器 鮟鱇(あんこう)・手杵・二柱


016年 5 月のコラム 七種:竹花器 鮟鱇(あんこう)・手杵・二柱

今年は伝書三才の巻に記載されている器や花留めについてお話を進めていますが、今月は鮟鱇、手杵、二柱の3つを説いてみます。

<鮟鱇> 鮟鱇の意味は、「忍受と何事もよく咀嚼(そしゃく)し、物事をよく観定める」です。 玄解には次の記載があります。

「忍受の意、亦口の広きを大海の意に取る意は戒めの意、其の心大海の如くにして事を忍受すれば、国家其の身安泰の基なり。修行同を示す意なり」。

鮟鱇は口の大きな魚で、何でも食べる(=咀嚼する)ところから口の大きさは大海を意味し、転じて清濁併せ呑み、腹に収め、小さな事に拘わらず忍耐強い心を表した象です。また、生き様としての理想では終われない現代人への戒めでもあります。

<手杵> 手杵の意味は、「物事を消化し和合するの」です。 玄解には次の記載があります。

「天地に象る器の上下同寸にて陰陽等分の働きを示す。天地能く物生化するも亦消化す故に和合の意を示す」。

なお、名前のとおり、手杵は餅つきの杵をかたどったもので、これは物事をよくこなし、繋ぎ合せることの意味しています。また、この器は上下同寸の形で、上を天、下を地と考えます。物は陰陽があってこそ存在するもので、この器は陰陽等分の働きを意味し、天地和合を表したものです。

<二柱> 二柱の意味は、「陰陽和合と子孫繁栄」です。 玄解には次の記載があります。

「天津御神の陰陽二神の尊影に象る我國和合の祖神なり」

二柱は、伊弉諾尊(いなざきのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二神の意味であり、我國天祖二神をかたどったものです。和合の祖神で、和合こそが治国斎家の源であると教えたものです。 この器の上の節は獅子口同様抜いてあります。これは、二神が天からの遣いである事を示し、我國形成、子孫繁栄の意味することから考え、次代への継承をも意味するのではないかと思います。

以上のとおり、人倫を説く大切な七種の花器である事を踏まえていける時は七種を並べ、心を丹田に置き、その意を正しく理解したのち花と向き合いたいものです。

とかく形を求めてしまう現在のいけばなではありますが、見た目を求める人達といけばな人との違いがどこにあるかを追求し、器が意味することが何であるかを今一度確かめながらいけるようにしたいものです。

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