2七種の竹花器についてのコラムを開始して早4ヶ月。この竹花器には華道を通じて人倫を説く意味を含んでいることはすでにご理解いただいているかと思います。
玄解には次の説明があります。
七種は何れも天下を治むる大宝なり。故に華道も是に準じて此の七種を宝器と定む然れば七種の花器は草木を挿ける器物に製すと雖も、人類精華の宝器として美徳を開顕す理を知らしむ為、これを制定する者なり
その1つ1つの花器に深い意味がある事から、未生流の宝器とされています。今月はこの七種の竹器の中から「寸渡(ずんど)」と「橋杭(はしくい)」を説いてみます。
<寸渡(ずんど)>
寸渡は、花器の基本をなすもので、宇宙を象ったものであり、竹花器の基本です。
「伝書 規矩の巻」に説明がありますが、竹の中程を計って円周が九寸(注:一寸=約3.03cm)から尺二寸(注:一尺=10寸)までの竹を節を中心に、円周を上下等分に分けおきます。五行(仏教では五大:空、風、火、水、地)を備え、上半分を空とし、下半分をそれぞれ風、火、水、地と四大を備えます。1番下の地の部分の半分を地との和合を計り切り取ります。これが寸渡の長さで円周の16分の15の寸法となります。
つまり寸渡は、空・風・火・水・地と天地自然の五大から創りだされたものであることから、未生流の基本の考えである五行思想を表しており、宝器として一本で創る竹花器の基となるものです。
<橋杭(はしくい)>
橋杭は、救済・理想へ導くの意であり、その由来は橋は人や物を渡すことから、その道に未知な人に親しくその精神を説き、理想に導く教導を意味しています。
「橋杭は、法橋の意なり、渡済の意なり、弘教して人を渡す、未縁なる人を導き、初発の人師なり橋は道 杭は法なり」とありますが、これは橋とは法の橋であり、人を渡す道として救済の意味があり、杭は橋の要で法のことを意味しています。