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未生流東重甫

七種:竹花器 獅子口・二重獅子口


この七種の花器には、華道を通して人倫を説く意味を含んでいます。

七種は何れも天下を治むる大宝なり。故に華道も是に準じて此の七種を宝器と定む然れば七種の花器は草木を挿ける器物に製すと雖も、人類精華の宝器として美徳を開顕す理を知らしむ為、これを制定する者なり(玄解より)

1つ1つの花器に深い意味があることから、未生流の宝器とされています。今月はその七種の竹器の中から「獅子口」と「二重獅子口」を説いてみます。

<獅子口> 獅子口の意味は、「天の教えを師の口を借りて表す」です。 玄解には次の記載があります。

「獅子口とは万法開顕の意なり、万法みな師の開示によって起こる。天地ひらけ万物自ら生ずと雖も、未だ人師の出でざる時は、その用なすことなし、万物私物に等し、人師使用の道を教えて、始めて活用す、故に師は万法の根源なり故に獅子口は人師開口の象なりすなわち師々の口なり」

万法を開いて顕すことを形としたもので、獅子口は師(宗匠)の口、と解すものです。花器の天には、上の節を割って抜いた月の輪があけてあります。天の声を宗匠が聞き、多くの師に説くと解されます。 つまり、華道を通じて月の輪から天の教えを直接受ける事のできる天窓の意味です。

<二重獅子口> 二重獅子口の意味は、「師から弟子、弟子から孫弟子と絶えることのない伝承」を説いています。 玄解には次の記載があります。

「二重獅子口は、先師に依りて道法を傳はり。道を得て、人を導く、報恩の意なり、故に師を重ぬるの意なり、故諸法傳統して絶える事無きを示す」

師により教えられた道を自ら精進を重ね会得し、後進に論じ説く姿を表したものであり、後世へと絶える事無く引き継がれていく精神と努力、人に教え導くことが、師に対する恩返しになることを意味しています。 なお、獅子口は上手(かみて)に、二重獅子口は下手(しもて)に共に垂撥(すいはつ)に掛けて(正面掛け)使います。いけ方や大きさは、掛け花器のいけ方の基本に準じて挿けます。いける口が小さいので挿け難いものです。特に、竹の切り口に花材がかからないことが望まれますが、このためには留の大きさや角度が難しく、正規の見る位置で確かめながら竹器の切り口の中に納まるように花姿を整えることが大切です。

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