気が付けば2015年も残り少なくなりました。慌ただしく過ぎていくだろう年の瀬を毎年それなりに愉しんでいます。そして最近、この1年を振り返ってみる機会に恵まれ、今までにない一時を送っています。有意義であったと感じたいこの1年を、些か戸惑いながらも文面に落としてみます。
毎年、年始には今年のモットーを決めており、今年もまだまだ成しえない「泰然自若」がモットーでしたが、残念ながら形は近付いたものの、内面はまだまだです。 どんな世界でも同じかとは思いますが、私のいる世界でもやはり無関心が多い様に感じます。加えて、生真面目な人が多いせいか、まわりの人の言葉を盲目的に信用してしまう傾向があり、単純に自分の目を信用できない人が多いようです。 いけばなを教えてお月謝と称していくらかのおあしを頂きます。そのおあしに見合う代償を与える事が出来ているのかと時々自問自答しています。
現代のいけばなは形や美しさを求め、いわゆる見た目のいけ花だけが先走っています。元来のいけばなの意義はどこにあるのでしょうか。 「おもてなし」を口にはしますが、観る人の気持ちになって挿けられた花や、芸術として追及された作品に中々出会わなくなりました。 人として魅力を感じられる人が自分の周りにいて欲しいとは思いますが、果たして本当にいるのでしょうか。せめてそんな人の中の1人として生きられたらと思います。
ゆっくりと過ぎてゆく時間の中で、咲く花を見て散る花を見る。咲けたら幸せ、散るまで生きられればもっと幸せ。実を結ぶことが出来れば一生を全うしたことになる。 そんな事を思う1年であったのかもしれません。
1月には琳派との融合を図るべく梅と柳に水仙の応合いをテーマに催した花展では、色んな意味において意義深いものでした。参加者一同花展の意義を理解して頑張っていたことも記憶に新しいです。続いて2月には六本木国際文化会館にて恵泉女学園主催「おもてなしの花」と題してのいけばな講座を実施、5月には横浜ベイホテルで東京婦人クラブ主催いけばな実演を催した。いけばなを楽しむという点においては成功だったように思います。 また、8月には未生流夏季講座での実演を担当しましたが、残念なことに舞台で挿ける事は無く、進行の関係で私の持ち時間は残りわずかという事態になってしまいました。案外時間の観念がないことに驚きました。
1月の花展に参加してくれた皆さん、上記を始め毎月の特別研究会でのいけばな追求他多くの事を手伝ってくれたスタッフ、遠方から東京や横浜まで参加して頂いた方々、そして日頃お世話になっている方々に感謝の1年です。有り難うございました。 来年も仲良くいけばなを楽しめる1年にしたいと思います。
皆さまもどうぞ良い年をお迎えください。
2015年12月吉日 東 重甫