暦の上では7月に秋を迎え、8月は秋真最中ですが、連日酷暑が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
旧暦と新暦の間でのいけばなは花材調達に難しい所があり、実際、新暦の七夕に秋の草花を揃える事はなかなか出来ません。とはいえ、灼熱の太陽が照りつける中、秋草を思うと涼しい気分になるかも知れません。そこで今月は名前から秋の美しい花を連想させてくれます秋明菊(しゅめいぎく。秋牡丹ともいいます)を取り上げてみたいと思います。
春に美しく咲く百花の王である牡丹、雪や霜から守るための薦で覆って花を咲かせる寒牡丹、冬に咲かせるように養う冬牡丹、野に咲く野牡丹などよく耳にしますが、秋牡丹はあまり耳にしません。未生流伝書四方の薫の8月の部の花で秋牡丹が「品良く挿けて善し」と紹介されていますが、名前とは違うようです。
秋明菊は、被子植物門、双子葉植物網、モクレン亜網、キンポウゲ目、キンポウゲ科、イチリンソウ属、シュウメイギク種に属する多年草です。学名のAnemone hupehensis var.japonica.からわかるとおり、名前には菊が付きますがアネモネと同種の様です。また、別名には秋牡丹、貴船菊、しめ菊、紫衣菊、加賀菊、越前菊、唐菊、高麗菊、秋芍薬、等々多くの名前を持っています。花言葉は忍耐です。
長く伸びた花茎の途中の節に葉と数輪の花茎を出し、花は赤紫色ですが、他種との交配品種が出回っており、弁数が少ない品種や白花の品種が多く栽培されています。
秋明菊は、古くに中国から渡来し、帰化植物になっています
中国明時代末期「三才図絵」に秋牡丹の名前で記載されています。
「三才図絵」とは、中国明時代の王圻(おうき)著、日本でも江戸時代「和漢三才図絵」が編纂されています。三才図絵は、百科事典で天文4巻、地理15巻、人物13巻、時令(暦他)4巻、宮室(宮、殿、堂他)4巻、器用(壺、武器、楽器他)12巻、身体7巻、衣服3巻、人事(書、画、武芸他)10巻、儀制(王宮、祭礼)他8巻、珍宝2巻、文史4巻、鳥獣6巻、草木12巻以上の102巻からなります。
<いけばなと秋明菊>
一般的には4弁か5弁の白やピンクの花が出回っています。花首が細く、水揚げが難しいですので煮沸やミョウバンを塗布します。
秋草を数種いける際、その一種として使ったり、一種挿けにしたりと使い道は多くあります。
花言葉ではありませんが、挿け上げた品の良い姿は何かを耐え忍ぶ姿なのでしょうか。