年の始でもありますので1月は「婚礼の花」についてお話します。
未生流三才の巻には、「婚礼の花挿け方の心得」が、伝書 原一旋転には、婚礼式産巣日の神(むすびのかみ)の御事として、「故にこの席の挿花は、松竹の二瓶を挿けて、竹の代々に久しき香具山の昔をもて備え、松の千歳の翠(みどり)を祝い、腹籠の翆を入れて、子孫相続の守とす」とあります。
高位高官の御方なれば 松竹梅をいけますが、平人は松竹の二瓶を一対にいけます。
なお、床の間は、本床(上座床;向かって右側に明かり口、左側に床柱)と逆勝手(下座床;向かって右に床柱)があり、明かり口が上座、床柱側が下座と呼ぶことを覚えておきましょう。
床に二瓶いける場合、上座側に七五三の伝 若松をいけ、下座側に七五三の伝 竹をいけます。中央は、伝書原一旋転の説明のとおり、中央三方(さんぽう:神前に供物を載せる台)に上座側に男蝶の銚子、下座側に女蝶の銚子を飾ります。
また、三方の手前に上座側に伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、下座側に伊弉冊尊(いざなみのみこと)のお神酒を置きます。二瓶の花器は真の花器で、銅器の八角寸渡で真の花台を使いましょう。
花台は桐の足つきで、高さで真・行・草と分かちます。
真の高さは7寸2分(約216mm)、行の高さは4寸8分(約144mm)、草の高さは3寸6分(約108mm)になります。
大きさは花台も薄板も同じで、長さ陽の9寸(約386mm)、幅9寸(約270mm)になります。なお、この寸法は伝書規矩の巻に説明があり、この二瓶の花は、五節句元旦の若松と二日の竹です。
婚礼の場合、二日の七五三の伝竹のいけ方に加え、竹の葉を3種いけることを記されています。
この3種とは、魚尾(二枚葉)、金魚尾(三枚葉)、飛雁(三枚葉の内中一枚が若く巻いている)であり、伝書には「体の枝には三種ありて善し。用に金魚尾多く、留に魚尾多く備う。」と記されています。また、「お色直しの席の花は随分陽気なる芽出度き花を十分派手に挿くべし。垂物、弱き物、名の悪しき物を忌む。」ともあります。
当たり前ではありますが、散り易い物や匂いの宜しく無い物は避けたいものです。