• 未生流東重甫

5月の花:牡丹(ボタン)


今月の花は、花の王様とも呼ばれる牡丹(ぼたん)です。 牡丹は、ユキノシタ科ボタン科ボタン属に属する被子植物の落葉小低木で、学名をPaeonia suffruticosa、英名はPeonyです。牡丹の別名には、名取草や深見草、廿日草(はつかそう)、富貴草、富貴花、花王、花神、百花王、花中の王、百花の王、天香国色、忘れ草、鎧草、ぼうたん、ぼうたんぐさ等、多数あり、花言葉には、王者の風格や富貴、高貴、壮麗、恥じらい等があります。 牡丹の原産地は、中国西北部で、日本には奈良時代に弘法大師が持ち帰ったともいわれています。清代以降、中国の国花であったとされることもありますが、清政府が公的に制定した記録はありません。また、1929年に当時の中華民国政府は、国花を梅と定めましたが、中華人民共和国では国花を定めていなかったため、新しく国花を制定する協議を行い、牡丹・蓮・菊・梅・蘭が候補に挙げられましたが、決定には至りませんでした。 牡丹は、園芸品種として、春牡丹・寒牡丹・冬牡丹の3種類に分けられます。春牡丹は、4月下旬から5月に開花する一般的な品種で、寒牡丹は、春と秋に花を付ける二季咲きの変種ですが、春に出る蕾を取り秋に出る蕾を残し、10月下旬から1月に開花させるものです。冬牡丹は、春牡丹と同じ品種の物を1~2月に開花するよう特に手間をかけて調整した品種で、寒牡丹と混同されることが多いですが、これは放置すると春咲きに戻ってしまいます。 春の牡丹の美しさは当然として、残雪の庭に藁で覆った冬牡丹は格別です。 また、牡丹は、被子植物ですので種から育てられますが、開花に時間を要すことから一般的には芍薬を台木に接ぎ木したものが多く出回っています。 根の樹皮部分は、牡丹皮(ぼたんぴ)として、大黄牡丹皮湯(だいおうぽたんぴとう)、六味地黄丸(ろくみじおうがん)、八味丸(はちみがん)等の原料になります。ペオノールという薬効成分が、消炎・止血・鎮痛等に効くとされています。 「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と美女の形容として牡丹がつかわれる歌がありますが、これは芍薬の様に風情があり、牡丹の様に華麗で、百合のように清楚な、と女性の美しさを形容する言葉です。今の時代ならどのように形容するのでしょうか? 「獅子に牡丹」は、獅子は百獣の王であり、牡丹は百花の王であるところからよい組み合わせとされています。 私が住んでいる長岡京市にも牡丹の名所として、観光バスなどで訪れ多く人で賑わう乙訓寺があります。咲き誇る様々な色の牡丹の競演は圧巻です。この他に牡丹の名所として島根県大根島の赤名観光ぼたん園や奈良県桜井市の長谷寺、福島県須賀川市の須賀川牡丹園、埼玉県東松山市の箭弓稲荷神社牡丹園、東松山牡丹園等があります。 <いけばなと牡丹> 未生流では、伝書「体用相応の巻」に『春牡丹、冬牡丹挿け方の心得』として、取扱いの説明があります。 「春牡丹は用に勢い強き葉を沢山に遣う。これ獅子隠**(ししかくれ)なり。それより満開の花を用と入れそれより黒木*二本遣う。これに添いて半開を体の花と遣う。この花に付きたる葉を花隠し(はなかくし)と唱(とな)う。留に莟を入れ、又切葉沢山に遣う。これ爪隠し**なり。…中略…冬牡丹は八月頃より咲くなり。…後略…」 と説明されています。 *:牡丹の出生からで、昨年の木を残さないと花芽が出ないため枯れ木をイメージして配置するものです。体と用に花より高く使います。なお、紫陽花も同じで枯れ木を使います。 **:体用留の葉にそれぞれ名前を付けて表現します。獅子隠と爪隠しは「獅子に牡丹」のイメージからの名前で、留の爪隠しは、獅子の爪が二本であるとして、葉が2列になっているものを使います。 牡丹をいける方法ですが、まず、黒木(枯れ木)を体と用に使います。その木に添わせるように、半開の花を体の花としていけます。次に、満開の花を用の花として、用の黒木に添わせていけます。体の花の葉は、あまり横に広がっていないものを遣います。用の葉は、葉で格を取るように配し少し多めに足し葉をします。 留は莟(こけ)を使用して、3列している葉の何枚かを1枚切って2列にして配します。三花の場合、花で体用留の三才を取りますが、葉でも三才を取る様にします。 なお、牡丹は水揚げが難しいとされていますので、以下の手順で準備すると良いでしょう。 1.花を切る時、茶色の木の部分から切るようにします。 2.切り口を1~2cm炭になる位まで焦がし、深水に浸けます。 3.切り口をアルコールに浸けます。 4.深水に浸けます。 様々な方法がありますが、時期の花は伐ってすぐに水に浸ければ十分上がります。つまり、無駄に水からあげない、また、余計に触らない、風に当てない、などに気をつければ大丈夫です。難しいからと敬遠せず、一輪挿しからでも体験して下さい。特に、水揚げが難しいとされる花材は経験が大切です。意外と楽にいける事が出来るかも知れません。

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