• 未生流東重甫

4月の節気:清明と穀雨


24節気の節は季節の始まりとされています。春は立春より、夏は立夏より、秋は立秋より、冬は立冬より始まります。 立春を過ぎると、いくら寒くても余寒といい、立秋を過ぎるといくら暑くても残暑といいます。(残暑見舞いを出す時期も立秋以降です。) 実際の気候からいえば、立春の頃が一番寒いですし、こんな日を「春立つ」とするのは、「寒さ極って春の気兆す」とする中国思想の陰陽説に準じたものでは無いかと思われます。 立秋とは寒さの極みであり、立秋とは暑さの極みであると考えられます。 3月の啓蟄・春分が過ぎ、所謂春の節気の半分が過ぎやっと本格的な春を迎える時期で有ります。今月はそんな春の訪れを告げる4月5日からの清明と4月20日からの穀雨です。 <清明(せいめい)> 旧暦3月、辰の月の正節で、天文学的には太陽が黄経15度の点を通過する時を清明といます。春分後の15日目で、今年は新暦の4月5日から4月19日までです。 清明は、「清浄明潔」を略したもので、「万物ここに至って皆潔斎なり」と称されるように、春風が吹き暖かくなると、空気は新鮮で穏やかになり、天地は明るく清らかになるとう意味で、春先の清らかで生き生きした様子を表したものです。様々な花が咲き乱れ、お花見シーズンになります。 中国では、清明節は祖先の墓に参り、草むしりをして墓掃除をする日です。「掃墓節」ともいわれ、年中行事のひとつでもあります。また、沖縄地方では、「清明祭(シーミーまたはウシーミー)」は三大行事として、墓前に親族が集まりお供えの料理や酒を頂く習慣があります。また、春分の後、巽(東南)からの穏やかな風を清明風といい、暖かい春の訪れを告げます。 清明期間の72候には、初候として玄鳥至(げん ちょう いたる:玄鳥(つばめ)がいつものように南からやってくる時節)、次候に鴻雁北る(こう がん かえる:雁が北に渡っていく時節)、末候として虹始見(にじ はじめて あらわる:春雨に暖かな日差し)があります。 <穀雨(こくう)> 旧暦3月の辰に月の中気で、天文学的には太陽が黄経30度の点を通過するときをいいます。新暦4月20日頃で、今年は新暦の4月20日から5月4日までをいいます。 「穀雨」とは百穀を潤す春雨をいい、「百穀春雨」ともいいます。この頃は、春雨の煙るが如く降る日が多くなり、田畑を潤して穀物等の種子の成長を助けるので、種まきの好期となります。雨が長引くと、「菜種梅雨」となります。また、穀雨の終わりごろに八十八夜があります。 72候には、初候として葭始生(あし はじめて しょうず:水辺に葭が芽を吹きだし始める時節)、次候に霜止出苗(しも やみて なえ いずる:ようやく霜の時期も終わり、苗代では稲の苗が成長する時節)、末候に牡丹華(ぼたん はなさく:牡丹が大きな花を咲かせる時節)があります。 新暦4月を卯月(うづき)と呼びますが、この由来は卯の花が咲く月が定説ですが、逆に卯の月に咲くから卯の花だともいいます。また、12支の4番目が卯であるという説もあります。四月の異名として、陰月(いんげつ)、卯花月(うのはなづき)、乾月(けんげつ)、建巳月(けんしげつ)、木葉採月(このはとりづき)、鎮月(ちんげつ)、夏初月(なつはづき)、麦秋(ばくしゅう)、花残月(はなのこりづき)、植月(うえつき)等があります。 季語は流石に多く全てを紹介できませんが、その中から少し紹介します。長閑(のどか)、初桜、草餅、日永、都踊、浪速踊、亀鳴く、花篝(はなかがり)、花曇、囀(さえずり)、若緑、緑摘むなどです。 時候の挨拶として、仲春の候、春陽の候、花冷えの候、春粧候、軽暖の候、桜花の候、春日の候、春爛漫の候、春風の心地よいこの頃、うららかな春日和となりました、足早に桜の季節も過ぎて、躑躅が美しく咲く頃となりました。等々多くあります。 季語に植物が多いのは当たり前として、山葵(わさび)、芥子菜(からしな)、春大根、花菜漬、桜鯛、花烏賊、栄螺(さざえ)、鮑(あわび)等をお酒の肴に一杯は答えられませんね。この時期美味しく頂けるものが多くて困ったものです。 清明の穏やかな風も、穀雨の恵みの雨も最近の異常気象が多い世情ではあまり喜べないところもありますが、やはりこの時期の清々しさを楽しみたいものです。

#花に寄せて #節気

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