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2月の節気:立春と雨水

未生流東重甫

前回の1月:小寒と大寒でも説明しましたとおり、24節気は、中国で紀元前4・5世紀頃から形成され始め、紀元前3・4世紀頃には今の様な形式になったといわれています。そしてその名称の1つ1つが、当時の政治・経済・文化の中心であった黄河中下流の大陸的気候に基づいてつけられたものです。 日本においても24節気との付き合いは長く、その言葉と季節に整合性がとられています。もっとも、最近の日本の気候は四季を感じさせないところも多々ありますが。 立春の前日を節分といい、いわゆる一般的な節分です。この日が日本で一番寒い日であり、初めて気温が上がる日が立春と言われています。 また、四季の始まり(立春・立夏・立秋・立冬)の前日は節分ですので、節分は年に4日あることになります。なお、今年は2月4日が「立春」、2月19日が「雨水」です。 <立春(りっしゅん)> 正月節ともいい、旧暦正月、寅の月の正節です。期間の意味もあり、今年は2月4日から雨水前日の2月18日までです。 その名のとおり、冬と春の分かれ目でもあり、天文学的には太陽が黄経315度の点を通過する時をいいます。暦の上ではこの日が寒さの頂点となり、翌日からの寒さを「残寒」または「余寒」といい、手紙や文書等の時候の挨拶などで用いられます。旧暦では、この日から春とされ、「春立つ」「春来る」などと共に春の季語になっています。温かい地方では梅の花が咲き始める時期でもあります。 また、この日を年越しと考える風習があり、正月節、歳首節(さいしゅせつ)等ともいわれています。 立春の期間の72候では、初候として東風解凍(はるかぜ こおりを とく:東風が厚い氷を解かし始める)、次候に黄鶯睍睆(うぐいす なく:鶯が山里で鳴き始める)、末候として魚上氷(うお こおりをのぼる:割れた氷の間から魚が飛び出る)があります。 <雨水(うすい)> 旧暦正月、寅の月の中気で今年は2月19日で立春後15日目にあたります。天文学的には、太陽が黄経230度の点を通過する時をいいます。 空から降るものが雪から雨に変わり、雪が解け始めるころを雨水といいます。暦便覧には、「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」とありますが、実際は降雪のピークであり、この頃から寒さの峠を越え、水がぬるみ、草木の発芽を促し萌芽の兆しが見るようになります。 以上のことから、昔はこの雨水を目安に農耕の準備がされていました。 雨水の期間の72候には、初候に土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる:雨が降って土が湿り気を含む)次候に霞始靆(かすみ はじめて たなびく:霞がたなびき始める)末候に草木萠動(そうもく めばえ いずる:草木が芽吹き始める)があります。 なお、2月には、如月(きさらぎ)、為如(いじょ)、殷春(いんしゅん)、梅津早月(うめつさつき)、梅津月(うめつづき)、恵風(けいふう)、仲春(ちゅうしゅん)、中陽(ちゅうよう)、初花月(はつはなづき)雪消月(ゆきげづき)令月(れいげつ)等、他にも多くの別名がありますが、立春や雨水の意味から連想できるものばかりだと思います。 また、2月の時候の挨拶としては、立春の候、梅花の候、解氷の候、早春の候、陽春の候、春寒の候、水ぬるむ候、残寒の候、晩冬の候、余寒の候、梅の便りも聞かれますこの頃、暦の上では春とはいえ、三寒四温の季節などがあげられます。 早く春を迎えたいという季節です。手紙の一文にも春の兆しを感じさせたいものです。

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