2024年4月 第2回 未生流傳書三才の巻 《序説解説》
今年の4月は特に未生流支部展が多く催されています。花展とは、支部のお祭りのようなところもありますので作品は何時も愉しく拝見しています。特に、新花や造形は時代の流れの中の一コマで、作品に対する表現のおもしろさがありますが、格花はそうはいきません。花展で学ぶのではなく、日頃の研鑚を発表する場でもあります。形は技術を学ぶ事が出来ればある程度許される物ですが、格花には200年以上の歴史の中で培われた決まりごとがあります。当然のことながら、これを簡単に変えることは出来ませんし、守るところは守らないと歴史を積み重ねることは出来ません。
教える者、学ぶ者と立場は違っても目標は同じです。花を挿ける時、写真にあったからそれが正しいという訳にはいきません。その意味を考え、納得の上、次世代に伝えていかなくてはならないことを考え、責任を持って言葉を発信し、次世代に繋いでいく事が望まれます。
伝書がないために華道の行き着く先が見えない流派もありますが、我々の未生流は伝書という華道の道標があります。この道標の最初が「三才の巻」です。ここに説かれている言葉の1 つ1 つが、今なお時代に相応した考え方ではないでしょうか。言葉に含まれている根元を探ってみるのも挿花を知る上で大切な事ではないかと思います。
「三才の巻」『序説』には、初めて読むには難しい言葉が多く見られます。令和の時代と昭和初期以前とではこの「伝書三才の巻」を伝授される時期の違いに問題があるのかもしれません。昭和初期以前の初伝とは、現在の師範どころではなく、技術思想共に学ばれた方に与えられるものでした。残念ながら現在は学習しなくても師範の免状を取得することは可能ですので、師範とは名ばかりで技術が伴っていない方も残念ながらお見かけすることもあります。このような状況であるため、初めから意味不明な言葉が飛び交うように感じるのではないかと思います。
まずは、言葉の意味を知る必要があるのではないかと考えています。『序説』を一読して、言葉の意味をある程度解すようになってから再度一読する。このようにすることで耳が言葉を嫌がらなくなりますし、自然な流れの中の文言として聞く事が出来るものです。
『序説』では始めに文章に出てくる中の単語を拾いながら、説明していきます。
次回より本格的に伝書を読み進めていきたく思います。
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