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  • 未生流東重甫

「華道玄解 」 荒木白鳳著 閲覧35

2023年4月のコラム「華道玄解 」 荒木白鳳著 閲覧35 

3月の卒業の時節が終り、4月は何事においても最初の一歩を踏み出すときです。未知の物へ足を踏み入れる、体験のチャンスがそこかしこにある時期でもあります。4月は24節気で云うと、晩春にあたりますが、花は真っ盛りで、心さえ浮き浮きとさせます。


花をシッカリ咲かせた後葉を出す物、花と同時期に葉を出す物、葉を出してから花を咲かせるものと色んな生態を見せてくれます。春の花の代表である桜は、冬から咲き始めていますが、基本花から咲かせます。そんな中花と葉を同時期に出す桜があります。

一般的に桜を二分しているのが「ヤマザクラ」「サトザクラ」で、サトザクラはまず花を咲かせるのに対しヤマザクラは葉と花を同時期に出します。挿花で稽古する桜はサトザクラが殆どですが、未生流の伝書「原一旋轉の卷」に説明があるのはヤマザクラです。その一文を紹介します。


抑々我が国の桜は外国にもその類なく、千早振神代の頃、花を挿けん事の初めに花瓶に移し給いしとなん石上(いそのかみ)古き書に見えたり。これ洵(まこと)に我が国にては草木花中の主にして、然も蔵王権現の御神木なれば軽々しく取り扱う事を許さず。奥義に秘し尊みて愛すべきの花なり


花や木に対する信仰心は、神世の時代からの物で、常磐木は勿論桜も又田の神の御座所として祀られています。桜を手にして折れやすいとか、花が咲いていないとか、良い枝がないとか、自分の欲求を満たす思いで花と向き合うのは日本の歴史を見てきた花に対して失礼ではあります。花との会話は、大切な事です。花から何を学ぶかはこの「華道玄解」は細かく話してくれています。だからといって今まで読み進めてきたところをもう一度読み返すには努力が必要です。共に頑張りましょう。


さて、今月の「華道玄解」は、序説『三才の巻研究資料』『体用相応の卷研究資料』『原一旋転之卷研究資料』『草木養の巻研究資料』『妙空紫雲の卷研究資料』と読み進めて参りましたので、今月から『規矩の巻研究資料』を読み進めていきます。


“夫れ規矩とは則法なり。法は則天下之大法なり。大法は本原一つにして天下を治め。萬物養成の木具たり。故に器を製する法は。本來天地自然の數。則陰陽和合の數に據て制定なす可き事當然なり

本巻に曰く

萬器を規矩せむと欲せば天地に應ずる員を以つて本意とす。且つ天は四方に七を司り廿八宿を体とし。地は四方に九を司り三百六十度を元とす。

員とは數なり。天地に應ずる員とは自然の和合數を謂ふ。比數を活用するを以つて華道規矩の紀元とす。天は四方に七を司るとは。天体衆星の軌道は此二八宿を本據として運行す。

東方の天に。七宿三二星が七十七度二十二分を。本據として司る

南方の天に。七宿六十四星が百九度九十九分を。本據として司る

西方の天に。七宿五十一星が八十二度十七分を。本據として司る

北方の天に。七宿三十五星が九十五度七分餘を。本據として司る

二十八宿は天緯にして、天体の軌範なり。北辰の五星は天の中核にして天体の主たり。北斗七星は中位に處して。四方の宿星と時に相對し時令を指示す。此、辰。斗。宿の三つは。天体を觀測する目標たり

地は四方に九を司るとは。陰暦に。地球の旋轉。比に一度餘とす。四時の日数。三百六十日。春夏秋冬毎時の日數。九十日に當る。春は東方。夏は南方。秋は西方。冬は北方なり。故に四方の數と云ふ而して廿八宿の星數。百八星二數あり。一星各性質異なり、毎時の主どる星の氣が地上の物体に感ずとあり。地の三百六十日の中に。二十四氣の別あり七十二候の變化作用異なる

此天地の両氣作用に倚て。万物に禀る質性に。各異性備る故に。今現存する宇宙の物体は悉く此の陰陽両氣を分受す。故に天の二十八宿の星數の氣と。三百六十日の毎數變るの地氣を。萬物の体とし。元とす

數は是れ萬物の根性なり素質なり。萬物悉く數性の分受に随て。其質定る。故に不動体の器物。亦畫像木像の類も神佛の如き働きを爲し。土金。玉石の不思議の作用を爲す。是れ皆數の作用に倚る。

人類の常人善業を行ひて衰へ。悪に倚て栄へ。或は善事を行ひて。榮へ悪を行ひて。滅亡す、是皆俱に受性の數に。起因する處なり、故に數は萬象の根基と謂ふ。故に萬の寶器は、善良の數を選擇して、製す可きなり。數の選擇に、三種の別あり。華道規矩の本文に曰く、天地人三才、五行十干、十二支廿四節等の員に倚るとあり三才の數とは、則天の數、地の數、人の數、此三種の數を謂ふ。天の數とは則十干陰陽の數にして、五行の作用を爲す、是れ數の起元なり、根本なり幹なり。是れを天子の數と云ふ。

「地の數とは」十二支陰陽の數にして、九種作用あり。是れ數の働きなり。是を支とす。支は則技なり用なり故に故に天地の數は物体の。幹支なり。

人の數とは。則聖人易法を起し。天地の兩用を人類に知らしめ、交易の便法たらしむる爲め制定する數なり、比數に八種の作用あり。則天地の機を伺う八卦の數なり。此の三才の數を合して。然る後。按出したる一種の和合數あり。是則華道に於て器物を製するに應用する便法なり。是を活員と謂ふ。

而してこの應用法は。事物に應じて。四種の別あり。

不動体の物を制定するには天幹の數を用ひ。

動体の物を制定するには、地支の數を用ひ。

亦人事には八卦の數を應用す

萬賓の規矩には物に應じて。華道の活員を應用して可なり

左に四種の數を列記す“


今月のコラムはここまでとしておきます。来月は規矩の巻研究資料から今月の続き、四種の數、「天幹數、地支の數、八卦の數、華道の數」に進みたく思います。

今月はどこかしこで花展や催しが行なわれます。

花会は見るのも良いですが、雰囲気を楽しむのも良いかと思います。春の花は心を和らげてくれます。花の心に寄り添う様な花を挿けて頂ければありがたいのですが、花会では中々難しい所です。

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