top of page
  • 未生流東重甫

「華道玄解」 荒木白鳳著  閲覧13

「華道玄解」 荒木白鳳著  閲覧13 2021年(令和3年)3月のコラム


3月に入りますとすぐに上巳の節句である雛祭りです。上巳の節句は五節句の1つで、現在は3月3日(上巳:じょうみ)に行われていますが、元々は字の如く3 月最初の巳の日が節供でした。行事の内容は地方によっても様々ですが、近年は女の子の節句として雛飾りを設け、白酒に桃の花を浮かべて飲んで祝うなどが風習とされています。そして、雛飾りに欠かせないのが菱餅です。菱餅は赤白緑の3色が一般的ですが、江戸時代は2色で明治に入ってから3 色になったともいわれています。そして、この色にも意味があります。赤の色に使われる山梔子(クチナシ)には解毒作用があり、先祖を尊び厄を祓うとされています。そして白は清浄、残雪を模したもの、緑はハハコグサの草餅で、今は春先に芽吹く蓬の新芽によって穢れを祓うとしました。重ねる順番は、桃の花が咲き、残雪の下の大地に芽吹く蓬と考えられたのではないかと思います。なお、菱餅の形は大地の形である天円地方の地方からとされていますが、他説多々あります。


 お内裏様とお雛様を飾る時、関西では向って左がお雛様、関東では反対に向って右がお雛様になります。これは紫宸殿でのお二方の座られる位置で変わり、お内裏様に影がかからない様にとの配慮ですが、家で飾る際は関西関東などに関わらずに飾る所で考えた方が良いのではないかと思います。


 実は中国では上巳の日は人型の人形を厄払い(身代わり)として河に流していました。急に雪解けの水が増え子供が水難に遭う事が多かったこともあり、その厄除けの節供が日本に伝わって女児の節供として習慣となり、江戸時代五節句として式日になったようです。その名残が流し雛ではないかと思います。人形に穢れ(けがれ)を移し流します。

 いけばなでは縁の深い三才思想の始まりとして『荀子』の天論編が挙げられますが、その荀子の思想の中心は、「人間は努力次第で悪にも善にもなる」というものがあります。穢れを人形に移すより自身の努力が大切と考えるべきかもしれません。


さて、今回の「華道玄解」は『草木原一旋轉の次第』を読み進めます。


 草木は四時の本情に順ひ晨アシタの春に芽を出し。花を開くは一氣の開原なり。其れ自營に春夏の法輪を轉じて、秋冬の菩薩に至りて結果落葉を現すは、即ち法徳の理を示し寒時精子根止まるは、還原法を示す。是れ人類が生老病死の状態アリサマを一歳の中に表現アラハしての理を目前に現す。而して此春夏の次に秋果の基を定むるものなり。春夏の中旺盛の草木は必ず秋の結果に良種を得。又春夏に衰弱せる草木は秋果に結實するも子根固からざるが故に、再生の縁を斷つ。凡て草木開花の色は千差万別なれども、落花して土の本處に歸る時は、皆虚色を去りて原色に還る。其形狀性質万別なれども、効用は俱に万物保護の一事に止まる。此の行徳に依て生々世々煩惱欲相の苦患を斷し色身の崩壊に安住す。故に華道は斯の妙徳を感受して、草木を人倫の師と仰ぐ者なり。           



 是心軒一露が創流した「松月堂古流」を継承した和光庵卜友は、自序『小篠二葉伝』の中に、「花は姿に傚ひ 姿は花に習う 道は伝に傚ひ 伝は道に習う」と述べています。花は美の規矩(きく:ものさしのこと)に従っていけるものですが、その規矩は又花に従って形成されるものです。同様に、花の道はその心と技法の積み重ねによって培われ、そのような伝はまた花の道に自らかなう者である、という意味ではないでしょうか。


卜友の和歌


花の枝の あるへきやうの 姿にと をしえし道ぞよ よに残れる (花の秘伝より)



この奥深く味わいある言葉の意をその時々のご自身の心で感じて頂きたいです。

次回は人類原一旋轉之教義を閲覧します。

最新記事

すべて表示

「華道玄解」 荒木白鳳著  閲覧32 2022年12月のコラム 気がつけば12月、2022年も終わりに近づいてきました。 師が東西に忙しく走り回ることから師走とはよく言ったもので(諸説あります)、月半ばともなると気持ち的にも世の中的にも気忙しくなってきます。そんな慌ただしい月ではありますが、今月も華道玄解のコラムです。 先月は先々月に続き、『妙空紫雲の卷參考資料』の『妙空紫雲』を読み進めましたが

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧31 2022年11月のコラム 11月は京都も錦秋の彩りで人々の目も心も癒やしてくれます。修学院離宮、桂離宮そして多くのお寺や神社が自然の美を今も残して京都らしさを演出してくれます。「五感で感じる」という言葉が似合うのも爽やかな風が流れるこの季節です。春には春でしか感じない健やかな美があり、当然四季折々の美が五感に訴えてくることは多くありますが、これは四季折々の美を感じ

「華道玄解」 荒木白鳳著 閲覧30 2022年10月のコラム 「華道玄解」の著者である荒木白鳳氏の言葉は、昭和時代以前に創流された流派の伝書や秘伝にも出てくることであり、現代の常識では差別用語と言われるかもしれませんが。読んで頂いている諸氏の寛大な心で当時を思い解釈して頂ければありがたく思います。未生流の伝書の一文でも、町民百姓と高貴の方との一種の差別が出ていますので、当時の流れとして受け止めてい

bottom of page