• 未生流東重甫

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧20

2021年11月のコラム「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧20                     

 

 過ぎていく季節の中、人それぞれに歴史が刻まれていきます。

今年の秋は、自分にとってどんな過去を生み出してくれたでしょうか。四季折々の時節が、刻々と過去を積み重ねていきます。人それぞれの過去がこの秋のように清しいものであることを祈ります。

 いけばなを生業としているせいか、秋の花に問いかけることが多いです。決して難しい事を尋ねるわけではないのですが、中々応えてはくれません。花も私の気持ちを察してか、答えにくいらしいようです。


 秋の花の散策は、何も考えず、何も求めず、ただただ秋を感じるだけで良いと思う。

今日はどんな花を見たか?ときかれても、「はてさてどんな花だったか?」としか答えられません。「小さい秋みーつけた」と感じる幸せはもう来ないのかもしれません。


随分昔に読んだ安岡正篤は自身の著の中で、「六中観」という言葉を述べています。


死中 活有り、苦中 楽有り、忙中 閑有り、壺中 天有り、意中 人有り、腹中 書有り。


励まされているような、もっと頑張れといわれているような言葉ですが、常々考えさせられる言葉でもあります。

昔読んだ本を掘り返しまた読もうと感じるのも秋の贈り物でしょうか。


 未生流伝書草木養之巻の初めの項に「養第一心得の伝」として、五行の木火土金水それぞれの司るところを説明していますが、今月は、華道玄解の下巻『養の巻參考資料』《五行の所囑と解説》を読み進みます。

 

五行の所囑と解説

五行とは五氣の作用を謂ふ、五氣とは万物の精氣則(原素)を木火土金水の五種に分類したる物なり。故に木火土金水の本質に倚す。亦五星運行の次第または作用にも非ず。唯万物精氣の作用を木火土金水の本質に倚せて教示する一種の便法なり。此の法則に依て自然循環法の眞理を解悟し。養ひ法の便ならしむるの所以なり。五行に所囑する物体を類別して左に記す


木に屬する部類

方に曰く東 聖人方位を定むる時太極より兩義を分ち北を水陰の方とし、南を(火)陽の方とし亦両義より四象を分つ。則南面して左の方を木の位とし。陰中陽*の方とす。右の方を西とし。金の位とし、陰中陽の方とす。故に木の方を東とす。また(東の字)木の中に日のある形象なりと云ふ       

*:原文の陰中陽は陽中陰の間違いではかと思います。

       

星に曰、歳星 天文の書に歳星は木星の名。此星は陽を主とし人主の象なり。行く事歳の中に二十八宿の二宿、亦三宿を行き、十二ヶ年に一周天す。卯の月には此星旺盛なり、明らかなる時は穀物豊かにして人民安しとあり。俗に謂ふ歳徳神は是れ、此の星の仲する方を惠方と云ふ

色に曰く青 青色は草木發生の色にして木の本色とす春時芽の出る時は草木の葉青し。盛んなる

時彌々青し。故に木の色を青とす。此色に新進の氣を含む。和合の色なり

氣に曰く魂 魂は人類の氣根なり。則内性の事なり。心なり。五氣の中魂は 陽に嘱し動を主とす。故に遊魂の稱あり。木は進動を主とす。故に魂も木に嘱し中和の氣なり


卦(くわ)に曰く震(しん) 震は八卦の象。聖人四象より八卦を分ち四方四隅に配し、天地万物運化の道を示す爲め交易の用をなす者の名を附し。則ち北の水の卦の本位とし。南を火の卦の本位とし。東を木の卦の本位とし。西を金の卦の本位とし。西北を天の卦の本位とし。西南を地の卦を本位とし。東北を山の卦の本位とし。東南を風の卦の本位とし。而して木の常の名を震と云。震は雷の事なり震はふるうなり地中氣の動ずる事。雷氣の空中に動ずるが如し。此氣動に依て惡氣を散滅す。故に雷鳴多き年は草木繁茂すと云ふ。雷は進動を主とし木も進動を主とす。故に震を木とす人に配して長男の位なり

人に曰く仁 仁義禮智信を人倫の常道とす。仁の意は慈悲を主とす。草木の性徳は万物を慈養す故に人の仁慈を施すは。木の徳と相通ず

時に曰く春 春は陽氣進動し草木新に芽を生し草木の類發生し。万物皆俱に氣を動搖す。故に四時の中、春は木性と相通ず

神に曰く龍 龍とは道教に云ふ空中の四方に此の界を守る神なり。東方の護神を星龍神と名附く。東方は木の位なる故に。此神を木に屬す

臓に曰く肝(かん) 五臓の中。肝は木に属す。三才圖會に曰く。肝は木の精なり。其情怒る事を主とす。

肝の囑目爪筋、色は蒼し、蒼は青なり、人怒れば面色青し。青蒼なり木脈張らざるなし凡木に屬して。性動じて急なり。木は發生を主る。故に謀慮の出る處なり。亦仁を主(つかさど)る仁は。忍ばずとあり

味に曰く酸(さん) 酢(す)は則木の味の素なり。草木には五味を具すと雖も酸味を木の本味とす。草木の果實大抵一度は酸くなり。また荼類若し腐れば其味酸に還る故に木の味を酸とす。

數に曰く三八 數は聖人なり。天地開闢の序を示す法なり。三は木の生(しょう)數。八は正數なり。聖人數を起す時。天一の數。北水を生し。地二の數。南の火を生し。天三東の木を生し。地四西の金を生し。天五中央の土を生し。地六北の水を成し。天七南の火を成し。地八東の木を成し。天九西の金を成し。地十中央の土を成すと。天とは則陽氣を云ひ。地とは陰氣を謂ふ。一三五七九は。陽數にして。二十五數あり。二四六八十は。陰數にして三拾數。合して五十五數。是れ天干の數と謂ひ數の起元とす。而して陰氣は。陽を生し。陽は。陰を生し。互に變化して其体を成す。是れ陰陽自然の理を示す。天干とは十干の事なり。三は甲(きのへ)(木(きの)兄(へ))の木。八は(乙(きのと)木(きの)弟(をと))なり。三は。生にして、八は。成なり合して 其体を生成なす。

音に曰く角 音は万物の精を外に發露するものなり。五音は則五種の音相たり。此五音に自ら性具

はる角とは五十音の中にてカ行(カキクケコ)に屬す。音にて發する時喉より出て牙に觸れて發す。故に牙音と云ふ此音進出の氣を含む 


興味を持って頂ける方は「未生流伝書 草木養の巻」や「挿花百練」、他陰陽五行に関する書物も多く出ていますので、参考にして下さい。

此陰陽五行は起源こそ古いですが、今の時代でも理に叶ったところが多くあるように思います。時代の流に飲み込まれ、忘れ去られてしまいそうな所を危惧しての言葉が、「華道玄解」でもあると感じます。


来月は、木火土金水の『火に屬する部』を読み進めていきます。    

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