• 未生流東重甫

「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧19

2021年10月のコラム「華道玄解」荒木白鳳著 閲覧19

                                 


今年は例年の夏の暑さを感じないまま初秋を迎え、もう10月ですが、季節外れの暑い日々が続いていた10月でした。

 それぞれの季節を楽しく迎えたいものですが、秋だからといって誰もが楽しく迎えられるとは限りません。それでも毎年この時期だからこそ、この時節だからこその喜びはあるのではないでしょうか。

 何事も人によって受け取り方が異なるのは当然ですが、自分の心を動かすのは自分です。ふと、全日本サッカー元主将の長谷部誠選手の著書である「心を整える」が目に入りました。この「心を整えるという言葉は、誰かがどこかで遣っていたことは認識していますが、それが誰であったのかは記憶にないものの、何となく心に響く言葉です。

 「心を整える」とは、「常に平常心である」と簡単に咀嚼してしまう物ではないかも知れません。わかりやすい言葉の中に多くの思いが隠されているのではないでしょうか。このような思いの中で時の流れを感じてみると、活きている事の喜びさえ湧き出てきます。心とはおかしな、とらえようのないものだと今更ながら感じる。


 さて、毎月すこしずつ読み進めている華道玄解ですが、先月から下巻にすすみました。先月は『養の巻參考資料』の序文と言うべきところを読み進めましたが、今月は養素を読み進めていきます。


『養の巻參考資料』 《養素》

養素は即ち生物命脈を繋ぐ本源たり。故に生物の体を養ふ物は食を以つて第一とす。人類の養法の食に四種の別あり、一には揣食、二には觸色、三には思食、四には識食なり。此の四食は人類の生体の内外を養ふ素因たり、揣食の類は外を養ふ、思識の二類は内を養ふ、この食に善悪二種の作用あり、内とは即精神を謂ひ、外とは体質を謂ふ。若し食法正しく完全ならば質性俱に向上す、若し食法を誤れば性質俱に粗悪となる。四食の解釋は廣汎にして譯し難しと雖も唯生存に必要の點を別ちて左に擧ぐ


揣食とは、口より入れて体を養ふもの則魚荼、藥種穀物飲料一切を謂ふ 但し具に非ず

觸食とは 身体に接触して体を保治する者則、衣類舎宅醫療一切を謂ふ 此の觸釋は多種にして限りあらず故に略す

思食とは 眼耳鼻によって意に感し此れに依て心を慰むるを謂ふ則色、香、花、音樂、歌舞、歡樂、の類一切を謂ふ 此れ亦多解あり

識食とは 見聞によって識力を増すもの則書見、聽講の類を謂ふ 具さにすれば多解あり


此内にて識食は心を養ふ主たり、揣食は身を養ふ主たり。然れども具さには四色相ひ俱に關連して共用をなす唯主たる處を指摘するのみ。譬へば揣食は必ず觸を離るべからず思に倚て或は益し或は害す識に倚つて 是を正しくす

觸食の必ず思を離るべからず或は揣相通ずるあり通せざるあり、思識に倚て或は益し或は害す思食は他の。三食に倚らざれば必ず其用を爲す事能はず亦揣觸に倚て誤り害する事あり。識に倚りて正しく用を爲す

識食は他の三食の根にして。亦必ず三食に倚て其用を爲す故に單獨に用を爲す事なし。若し識食を謬らば心身に害す。亦食を謬らば必ず身を滅す。身滅すれば心俱に用を爲す事能わず。故に四食の法は人類生存の重要なるものなり。

凡万物を養ふは四季寒暖の氣候に應し。陰陽兩氣の消長する所以。或は雨露霜雪の毒となり藥となる事。又は風雲震雷の作用に倚て。氣候の變動する次第等を。略辯へずんばあるべからず。さて陰陽の兩氣變じて五行となり寒暖の作用を起し是れに依て万物を生化す。而も陽氣は万物の質を養ひ動を主とし。生を助け。陰気は万物の性を養ひ、静を主とし化をたすく。生化の用は宇宙存在の大本なり。


陰陽の両氣は變して五行(木火土金水)の精氣となり、五種の精氣はまた化して万物生体の素質となる。或は變して万物の個性となり五種の精氣が順次に旋廻す是を五行と謂ふ。五行とは兩氣順行の意なり、即ち東木は南火を生じ、南火は中土を生じ、中土は西金を生じ、西金は北水を生じ、北水はまた東木を生ず。斯の如く次第に相生して止む事なし。而して五行の本位に属す所の者を左に記す 


未生流伝書「草木養之巻」に『養第一心得の伝』として

「諸の草木に養を施さんと欲すれば、先ず四季寒暖の移り更(カワ)り、陰陽消長するの季候、かつ風雨霜氷の毒となり薬となるの道理を、委しく弁えざるべからず。然して寒暖の両氣五行をなす。所謂木火土金水なり。」と説明されて、五行の配置から自然との関わりを述べている。


今回は『養の巻參考資料』《養素》を読み進みました。

来月は五行の所囑と解説《養素》から『木に属する部類』に進みます。


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